文化的景観への影響を多角的に検証  宇久島にて本学景観研究センターが学術調査報告会を実施

 10月10日(金)、五島列島・宇久島(長崎県佐世保市)で、本学景観研究センターの教員が、地元住民、行政関係者、関連企業を対象に、メガソーラーパネル事業が地域の文化的景観に与える影響に関する学術調査の報告会を実施しました。

 本報告会は、同島で計画されている国内最大級規模のメガソーラーパネル事業に関連し、再生可能エネルギー推進の可能性を踏まえつつ、地域の文化的景観への影響について多角的に検討することを目的としたものです。

 同センターは、2024年11月から宇久島みらいエネルギー合同会社との共同調査を実施し、島内に残る井戸、水路、石垣、家屋など、地域の生活文化を伝える「文化的景観」の所在と質を評価しました。

 調査は以下の3つの専門班により行われました。

【調査班詳細】

■総括
 建築都市工学部都市デザイン工学科 山下三平教授(景観研究センター センター長)

■建築班:伝統的な建築と集落空間
 建築都市工学部住居・インテリア学科 福山秀親教授
 久留米工業大学工学部建築・設備工学科 大森洋子教授

■水系班:ため池、小河川などからなる農業の水利システム
 建築都市工学部都市デザイン工学科 山下三平教授
 建築都市工学部都市デザイン工学科 伊豫岡宏樹准教授

■牧野班:草地、牧野の利用実態と歴史
 建築都市工学部都市デザイン工学科 内田泰三教授
 芸術学部生活環境デザイン学科 栗田融教授

 報告会では、建築班は建築的背景、水系班は水循環機構、牧野班は生態サービスの観点から、島内の文化的景観の特徴と評価結果について、学術的に整理された知見と今後の配慮事項を提示しました。

 山下教授は総括として「文化的景観とは、人と自然の相互作用によって形成される“生きた景観”であり、継続的な見試しと対話を通じたアプローチが重要である」と述べました。

 参加した地域住民から「今回は、客観的視点から島の魅力を再発見するいい機会になりました。本日ご報告いただいた内容を材料として今後検討を重ねていきます」と話しました。

【都市デザイン工学科/芸術学部/景観研究センター】

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