高橋芳弘教授の研究が国際学術誌に採択されました

 生命科学部生命科学科高橋芳弘教授の「植物におけるサーモスペルミン合成酵素の進化機構」に関する研究論文が国際学術誌「New Phytologist」に掲載されました。

論文タイトル:ACL5 acquired strict thermospermine synthesis activity during the emergence of vascular plants

概要:
 ポリアミンはアミノ基を2つ以上含む脂肪族炭化水素の総称であり、細胞分裂をはじめさまざまな生理現象に関わる生命維持に必須の機能分子です。一般的には、ポリアミンは健康増進効果があると言われており、納豆などのポリアミン含有食品は非常に人気が高い現状があります。

 一方、植物における学術面では、ACL5タンパク質の作用によって合成されるポリアミンの一種:サーモスペルミンは、維管束形成に関わり茎の伸長を制御する重要分子である事が知られておりますが、維管束を持たないコケ植物や藻類のゲノム内にもACL5タンパク質をコードする遺伝子が保存されているのは大きな謎の一つでした。

 本研究では、維管束植物と非維管束植物のACL5タンパク質の特徴を調査し、コケ植物のACL5はノルスペルミンという他のポリアミン合成に関わる事、また、ACL5タンパク質の末端側に存在するβ-ヘアピン構造周辺領域の立体構造が、サーモスペルミンもしくはノルスペルミン合成を決定づける重要領域である事を明らかとしました。

 これらの結果から、植物の祖先が陸上進出を果たし、その後、維管束を獲得して大型化する過程で、ACL5のβ-ヘアピン構造を構成する領域の遺伝子配列に変異が生じ、タンパク質の基質特異性が大きく変化した可能性が示されました。

【生命科学部】

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