米軍ハウスの悉皆調査を実施しました

 

 10月30日(水)、建築都市工学部住居・インテリア学科松野尾仁美准教授信濃康博准教授の研究室の3年生19人が、大野城市役所と春日ベース・ハウスの会と協力して、米軍ハウスの現状を把握するため、JR鹿児島本線と県道112号線、春日中央通り、しらきばる通りで囲まれたエリア(約5万坪)の全戸を調査する米軍ハウス※1悉皆しっかい調査※2を行いました。

 「設計デザイン実習」と「地域貢献学実習C」の一環として実施されたもので、増加が社会問題となっている空き家と構造や規模、建築年代が類似している米軍ハウスの劣化状況を把握することで、空き家の研究に役立てることが目的です。

 米軍ハウスは民有地に建てられているためほとんどが取り壊され、残存状況は正確には把握されていませんでしたが、今回、屋根の構造や素材、出窓の有無や家屋表示番号などから、米軍ハウス16戸、米軍ハウスの可能性が高いもの7戸を認定しました。

 調査に参加した中村朋佳さん(香椎高校)は、「リノベーションやリフォームに興味があり、九産大に入学しました。福岡県出身ですが、米軍ハウスの存在は今回で初めて知りました。歩き回って見つけた時はとてもうれしかったですし、日本家屋とは違う点も学べました。次回の調査も楽しみです」と抱負を話しました。

 春日ベース・ハウスの会の中野秀孝氏は、「米軍ハウスは、歴史上、また学術上、価値が高く、私たちは有形文化財への登録を目指しています。この朽ち果てた米軍ハウスをどう保存していくか、またどのような価値があるのか、多くの方に知ってもらいたいと願っています」と語りました。

 調査は3段階で行い、2回目は本調査を経て選定した米軍ハウスの劣化状況の診断、3回目は米軍ハウスの内部調査と所有者へのヒアリング調査を行う予定です。

 

 ※1・・・朝鮮戦争やベトナム戦争により増加した板付基地とその付属基地に勤務する将兵のため
     に、1950年代から60年代にかけて基地の外の民有地に建てられた住宅のこと
 ※2・・・対象エリア全体の全数を調査すること

【建築都市工学部】

 

建築都市工学部のトップページへ