住居系複合施設インテリア設計実習
住居・インテリア学科■課題概要
「スモールエリアの価値創造に寄与する集合住宅」を計画する。実在の敷地を自ら調査・選定し、都市計画図に基づき容積率・建ぺい率内で規模を設定。構造は自由(木造・S・RC・混構造)。住居に加え店舗・SOHO等の収益機能を組み込み、各住戸に“住む×働く”を併設した集合住宅を設計することで、スモールエリアの価値の創造を目指す。
帰りたくなる家 〜ひとりで住んでても、家族と住んでても〜
中野葉世
「まちの日常を受けとめ、暮らしを編み直す集合住宅」。敷地の前面に地域へ開く広場と半屋外の通り庭を設け、買物帰りや通学時の小さな滞留を受け止める“まちの縁側”を計画。1階はラウンジやコモンキッチンなどの共有機能を集約し、上階に多様な住戸を積層。住戸は土間や可動建具を用いて家族構成や時間帯に応じて可変に使える余白を確保。中庭・吹抜け・回遊動線によって光と風、そして住民同士の気配を感じ取れる空間構成。庇や格子、植栽などで日射・視線・通風を調整し、木質素材を活用した温かい居場所。地域―共用部―住戸を段階的に接続し、単身から子育て世帯までが穏やかに共生する住環境を目指している。

繋がる集合住宅
前田宗一郎
「家具のまち」福岡県大川市を舞台に、衰退する木工・建具産業の継承と地域活性を主題とした“繋がる集合住宅”。準工業地域・特別工業地区(敷地840㎡)に、地域へ開く広場と地場材の木フレームで構成する住工複合を計画。南面片流れ屋根が人の流れを内部へ導き、広場中央のシンボルツリーとベンチ、2階テラスが滞留を生む。各住戸は広場に面した「土間」から入り、職人の作業・販売・来訪者との交流が日常化。寝室・浴室・WCは専有、ダイニング・キッチンは共有とし、扉で遮断せず段差で緩やかに公私を切替え、気配と距離感を両立。2M×2Mのモジュールに機能を挿入することで、空間の連続性と関係性を強化し、暮らしと仕事、住民と地域を結び直す提案である。北側空地・南側道路、小中学校近接という文脈から、交流の希薄さを広場と土間で補完する。

Sunset Complex
宮﨑桃
「Sunset Complex」は、沖縄県那覇市豊崎3の準工業地域(敷地約1,340㎡)に計画した、景観と暮らしを結ぶ8戸の集合住宅。青い海と白砂、ヤシ並木、サンセットビーチの眺望といった地域特性を最大化し、街路と連続する“箱”が支柱で持ち上がる立体ボリュームが中庭を囲む。道路向かいの商業施設や至近のバス停により生活利便と回遊性が高い。住戸は間仕切りを最小限とし、視線の抜けと遮断を家具と最小壁で繊細に調整。オーシャンビュー側は開放的に、内部は連続しながら使い方を住まい手に委ねる余白を確保した。段差のある屋上やテラス、通り庭的な共用域が海風と夕景を取り込み、外部の印象を内部に連続させる。8住戸は一体に見せつつ専有性を担保し、観光地の賑わいと地域の生活にほどよく開く、独立性と一体感を両立した計画である。
