旧国鉄史料「局報」のデジタル化に取り組んでいます

 

 地域共創学部観光学科菅沼明正研究室では、九州旅客鉄道株式会社(以下、JR 九州)が保管 していた、門司鉄道局「局報」史料のデジタル化に取り組んでいます。

 「局報」とは国鉄における日々の運転状況や業務上の伝達などを記録した現代の企業日報に近いも ので、そこに含まれるさまざまな情報は当時の人々の生活様式が反映されており、労働史、生活史、 観光史、産業史、軍事史、経営史、技術史など、幅広い研究分野の発展に寄与する極めて高い資料価値を有しています。

 しかし、戦前期に作成された記録であるがゆえに、光、虫、湿度などの外部要因による劣化が課題となっています。社会学を専門とする菅沼明正講師はこれまでに鉄道史料を用いたツーリズム現象の研究を行なった経験から、JR 九州から研究のために借用したこの貴重な史料を後世に残すため に「局報」のデジタル化に着手しました。

 菅沼講師と学生は立命館大学のアートリサーチセンターで資料アーカイブ化の基本指導を受け、本学に特設の撮影機材を設営。有志の学生たちが主体となり大正5年から昭和30年までの局報を1ページずつ撮影し、テータを整理しています。

 このプロジェクトに参加する同学科3年の坂口智さん(白石高校)は「撮影・データ化は学生主体で行っています。プロジェクトメンバーで試行錯誤を繰り返しながら、作業中に発生した問題に柔軟に対応しています。問題解決や後輩の育成などさまざまな場面で自身の成長を感じられるプロジェクトです」と話します。

 2022 年 5 月からスタートした撮影は、現在、借用中の史料およそ6割のデジタル化が進んでおり、 今年度中を目処に完了させる予定です。

 デジタル化と並行して、菅沼講師は商学部経営・流通学科草野真樹准教授、そして国内7つの大学2つの機関の研究者と共同研究グループを立ち上げました。現在、それぞれの専門から局報を使った研究を進めています。11月25日(土)、26日(日)に本学で開催された「鉄道史学会第41回全国大会」では、「鉄道史研究の可能性―国鉄門司鉄道局資料をどう活用していくか―」をテーマに菅沼講師、草野准教授をはじめとした共同研究者が登壇し研究発表を行いました。

【地域共創学部】

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