2025年は、終戦80年という節目の年となります。この重要な年に、芸術学部ソーシャルデザイン学科伊藤敬生研究室では、長崎県に点在する被爆樹木を題材に、さまざまなプロダクトを製作する『PIECE of PEACE(平和のカケラ)』プロジェクトを始動しました。これらのプロダクトを通じて、改めて平和について考える機会作りを目指しています。
同教授の出身地でもある長崎には、1945年の原爆投下による爆風や熱線を耐え抜き、現在まで生き続けている「被爆樹木」が約50本ほど存在します。これらは被爆の記憶を伝える貴重な平和の象徴であり、行政や樹木医によって丁寧に保存・管理されています。
今回、爆心地から800mに位置する山王神社のクスノキ(推定樹齢500~600年)の定期管理で剪定された枝木と落ち葉を、同神社から本プロジェクトへ提供いただきました。現在、「被爆樹木を五感で体感する」をテーマに、被爆樹木の音を収録した映像(聴覚)、お香(嗅覚)、お守り(触覚)、絵具(視覚)、ラムネ(味覚)などさまざまなプロダクトの試作・製作を進めています。
プロジェクトメンバーで同学科2年轟はなのさん(東稜高校)は「私自身、このプロジェクトに参加することで、長崎に足を運び平和について考えることができました。被爆樹木から生まれる身近なプロダクトが、手に取った方々にとって、平和について考えるきっかけとなると嬉しいです」と自身の想いを述べました。
伊藤教授は「被爆の記憶を伝える貴重な被爆樹木のピースから五感で体感できるプロダクトとして開発することで、より多くの人々にそれぞれの形でメッセージが響き、平和についての対話が生まれると考えています。このプロジェクトを通じて、平和のカケラを集め、紡ぎ、繋いでいきたいです」と話します。
完成したプロダクトは、今後、それらをお披露目するワークショップや展示、販売などが予定されています。
【ソーシャルデザイン学科】