食品微生物制御センターを開設しました

 食品の賞味期限を延ばす鍵となる、食品関連微生物の成分データを広く業界全体で共有するとともに、食品関連カビの研究を進め、食品ロスの低減を目指す研究機関として学内に「食品微生物制御センター」を開設しました。

 このセンターはMALDI-TOFMS(注)と呼ばれる成分分析法を用いて同定した、細菌や酵母などの食品関連微生物の成分データをデータベース化し、食品各社で利用できるようにするとともに、現在確立されていない食品関連カビの同定法を確立しデータベース化することによって、健康被害や食品の品質低下のもととなる菌やカビとその混入経路を迅速に特定して、食品事故の早期解決や賞味期限の延長などに役立てることを目的としています。また、福岡県工業技術センター生物食品研究所と協力して地域の食品産業の微生物制御の支援を行います。

 本学は2019年6月に「MALDI-MS微生物同定コンソーシアム」を立ち上げて、食品メーカーや研究機関と協力して微生物データの共有を進めてきましたが、このたび、この活動を更に進めるため、本学独自の予算である「実用化支援研究費」によって新たな研究機関を設立したものです。このセンターにおいて各社がデータを効率的に共有できるデータベースシステムを開発し、データの拡充によって、高い同定精度の食品業界横断的な微生物データベースの構築を目指します。

【コンソーシアム参加企業・団体(順不同 2021年6月2日現在)】
キューピー株式会社
マルハニチロ株式会社
株式会社 明治
カゴメ株式会社
株式会社やまやコミュニケーションズ
日本コカ・コーラ株式会社
コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社
株式会社ニチレイ
株式会社日清製粉グループ本社
日本ハム株式会社
東京都健康安全研究センター
一般財団法人日本食品分析センター
日本生活協同組合連合会
九州産業大学

注)MALDI-TOFMSとは
Matrix Assisted Laser Desorption / Ionization- Time Of Flight Mass Spectrometry,「飛行時間型マトリックス支援レーザー脱離イオン化分析法」の略で、マトリックスと呼ばれる混合物を加えた試料に窒素レーザーを照射し、気化・イオン化した成分の質量の違いによる電極までの飛行時間の差によって成分を同定する分析法およびその分析装置を指します。遺伝子解析による同定法と比べ、迅速な成分特定が可能であるとともに、専門的な技術を必要としないという利点があり、食中毒や感染症検査などの医療分野での導入に続き、食品業界で10年ほど前から利用されはじめ、全国の医薬食品分野で現在約200台が稼働しています。
九州産業大学では2011年3月総合機器センターに導入し生物化学分野の研究に利用しています。

≫プレスリリース「食品業界横断的な微生物データベースの構築に向けて

【生命科学部・産学連携支援室】

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