7月31日(水)、芸術学部芸術表現学科国本泰英研究室の学生3名が、被爆者が証言活動を行う際に言葉だけでは伝わりにくい場面や状況を絵画によって伝える「被爆体験絵画プロジェクト」の制作作品を「福岡市原爆被害者の会」に寄贈しました。
同会から「証言活動を行う際に、より具体的なイメージを伝えたい。写真でも伝えきれない感覚を絵画に詰め込んでほしい」との要請を受け、2024年1月にその思いに賛同した学生が、証言者と初めて対面。被爆当時の様子を聞きながら描くべき場面の確認と方向性を決定し、話し合いを重ね、証言者に絵の構図や色など細かく確認しながら、約4ヵ月かけて各自が 1 枚の絵(53cm×45.5cm)を描き上げました。
体験を語った3人が、今年3月に下絵を確認して以来初めて完成した作品を目にすることとなったこの日、作品を見た同会の証言者は、思わず手で口を覆い「白黒の写真や映像では伝わらない、原子雲の色や迫力をよく表現してくれ、被爆時の恐怖感を鮮明に思いだしました」「当時の表情や風景だけではなく、臭いまで伝わってくる作品に感動しています」と声を詰まらせました。
記憶の風化に危機感を抱く証言者と対話を重ね思いを強くしたという東陽音さん(鹿児島玉龍高校)は「絵画を専攻する中で、人の役に立つ作品を描きたいと思いプロジェクトに参加しました。当初は戦争や原爆に関して、あまり知識がありませんでしたが、証言者の方と対話を重ねるうちに、作品を通じて多くの人に当時の事を知ってほしいと思うようになりました。表現が難しく筆が止まる事もありましたが、お渡しした際に感嘆の声をあげる証言者の方を見て、少しホッとしました。これからの平和を願い、多くの場所で活用して欲しいと思います」と話します。
寄贈した作品は、8月4日(日)から開催された原爆展会場での展示のほか、証言時の説明資料として活用されています。
【芸術学部 芸術表現学科】