
1月20日(火)、本学にて、コンビニエンスストア、食品メーカー、九州産業大学が共催で産学共創セミナー「食の未来を考える」を開催しました。
本セミナーは「新技術を活用した社会課題の解決」をキーワードに、衛生管理と鮮度保持の最新動向を紹介するもので、本学学生・教職員のほか、企業や地域の方を含め約180名が参加しました。
当日はまず、株式会社セブン‐イレブン・ジャパン(東京都千代田区)の斉藤俊二氏による同社の安全・安心の取り組み紹介からスタート。全国の店舗運営で「当たり前のことを当たり前に続ける」ための衛生管理の仕組みづくりとして、HACCP※管理をデジタル化し、タブレットで温度管理や清掃記録を他の点検・補充業務と一体化して運用することで、効率性と確実性を両立している現状が紹介されました。また、フレッシュフードの製造現場において、従業員が無理なく衛生管理に取り組める工夫や蓄積データを活用した改善の仕組みについても説明がありました。その後学生から取り組みによるフードロス削減への具体的な成果に関する質問が寄せられると、賞味期限の柔軟化や商品特性に応じた期限表示の改善など具体的な事例が示されました。
続いて、生命科学部生命科学科中山素一教授が、内閣府「第7回オープンイノベーション大賞」を受賞したMALDI(以下、マルディ)を活用した菌種の迅速同定技術を紹介。微生物の特徴を質量分析で可視化し短時間で判定できることが、食品工場における衛生管理高度化に有効であり、食品産業へのマルディによる同定の普及を目的とした産学官協働の微生物同定コンソーシアムの取り組みなどを共有しました。
最後に、導入事例として、わらべや日洋ホールディングス株式会社(東京都新宿区)より、マルディによる同定実施状況が報告されました。主力商品の一つである「味しみロースかつ丼」を対象に、製品から検出された乳酸菌がどの工程で混入しているかを特定、製造機械の線情報の改善などによって衛生管理の向上と賞味期限延長につながった成果を発表しました。さらに、イセデリカ株式会社(茨城県龍ケ崎市)からは、玉子フィリングの製造工程におけるマルディ菌種同定により、工程ごとの菌叢を可視化、影響箇所を特定したことで従業員の洗浄意識が向上し、賞味期限延長に向けた取り組みが本格的に開始されたことが報告されました。
参加した学生や一般の方の中には、日ごろ触れることのない企業の衛生管理の情報に、熱心にメモを取る姿も見られ、各説明後には積極的な質問が寄せられました。結びとして斉藤氏から「企業、研究者、利用者が一堂に会するのは貴重で、企業側だけではなく、利用者の視点で質問いただけることに新たな発見もあり、大変有意義な会となりました」と語りました。
終了後には、イセデリカ株式会社から自社製品の一部がお土産として配布され、講演内容の学びと実際の製品が結びつく機会となり、地域の方や学生から喜ばれました。
本学は今後も産学官の共創を推進し、社会の安全・安心な食環境づくりに貢献していきます。
※HACCP(ハサップ):Hazard Analysis and Critical Control Pointの略。原材料の受け入れから製造・調理・出荷までの各工程で危害要因(微生物汚染、異物混入、温度逸脱等)を分析し、特に重要な管理点を設定して継続的に監視・記録・是正することで、食品の安全性を確保する衛生管理手法。令和3年6月1日から、原則としてすべての食品等事業者(製造・加工・調理・販売等)に対し、HACCPに沿った衛生管理の実施が求められています。


【産学共創・研究推進本部/生命科学部】




