2011年3月11日、巨大地震とそれに伴う津波が東北地方を襲った。
東北地方太平洋沖地震による津波は、各地の市町村に壊滅的な被害をもたらし、日本中に大きな衝撃を与えた。「甚大な津波被害と原発事故がきっかけとなり、想定外の事態にどう対処するか、という議論が活発になされるようになりました」と奥村准教授は語る。一般に、耐震設計は過去に経験した最大級の地震動をもとに行われる。しかし、これでは設計の想定を超える規模の地震が起きた場合に、致命的な被害を防ぐことは難しい。だからといって、過去の記録を上回る地震にも耐えられる基準を設定しても根本的な解決にはならない。また合理性を欠き、経済的にも現実的ではない。これを解決するためには、「想定外の地震が発生した場合でも、構造物がどのように崩壊するかを正確に予測し制御することで、壊滅的な被害を回避できるのではないか」と奥村准教授は考えている。
