働く人の舞台を。

商空間の主役は“働く人”。働く人が輝ける居心地良い空間づくりに挑戦。

  • A STAGE
  • FOR ALL
  • WORKERS
建築都市工学部 住居・インテリア学科 福山 秀親 教授 Fukuyama Hidechika
プライドを持ってかっこよく働ける空間づくりを目指す。

福山教授が専門とする「商環境」は、展示場やショッピングモールなど、住居以外の幅広い空間だ。では、商環境の設計において、大切なこととは何だろう。「お客さまを一番に考えること」。そう、それが大事。一般的には、商空間は、お客さま目線や売上げアップなどを考慮してつくられる。だが「本当にそれだけでいいのだろうか」と福山教授は疑問を投げかける。「"働く人"という視点こそ大切なのではないか」と。商空間には、必ず働く人がいる。住居より、職場で過ごす時間の方が長い人も多い。その職場が、働きにくく、居心地の悪い場所だったらどうだろう。「働く人が気持ちよく、プライドを持って働ける空間とは、どうあるべきかを考えています。普段の自分より、少しだけ理想に近いかっこいい自分を表現できるステージを提供したい。ストレスなく働くことで、結果的にお客さまにとっても気持ちよく、売上げや利益に結びつくと思います。その環境を実現するためには、空間設計だけでなく、ネーミング、ロゴやポスターのデザインなど何でもやりますよ」と福山教授は語る。

働く人のための商空間を学生と一緒に実現。

福山教授の研究室では、学生と一緒に様々な設計を行っている。2019年には、「設計実習」の課題として、九産大と連携協定を締結している古賀市の上下水道課のオフィスを一新。「"何のために働くのか?"を明確にするオフィス環境」をコンセプトに、働きやすさに配慮したフリーアドレスデスク方式のオフィスに変身させた。2021年には、九産大北門の「オープンイノベーションセンター」のカフェ「in.out(インドットアウト)」を手がけた。このカフェは、九産大卒業生が立ち上げたベンチャービジネスによるもので、障がいを持つ人と学生が協同して運営にあたる。「障がい者の方と時間と空間を一緒にして、刺激されることが多くありました」と福山教授は語る。例えば、障がいのある人の中にはパンやメニューを並べるのが苦手だったり、人との対応がうまくない人もいる。しかし、それを変えるのではなく、「そのままでもいい」と認めたとき、新しいアイデアが生まれた。商品を店頭に並べず、メニューをプリントしたTシャツを店の中に掛け、応対が最小限で済むモバイルオーダーシステムを導入した。働く人を尊重したカフェは、斬新でおしゃれなだけでなく、コロナ禍にあって密を回避できるなど、一石二鳥、三鳥の効果を生んでいる。

憧れは「フリーランス」。自分らしい働き方を目指してほしい。

福山教授が建築家を志したのは、「フリーランスになりたかったから」。中学の頃、友人の家に行くと、それまで見たことがないほど、洗練されたデザインの家。聞くと「フリーの建築家がつくった家」だという。「これだ!」。何が何でもフリー建築家になろうと思い、それまで興味が無かった美術や数学にも取り組んだ。大学で建築を学び、大手企業に就職したものの、数年であっさり退社。念願のフリーランスになり、それ以来フリーで活躍を続けている。「建築家やインテリアデザイナーは、大企業に入ってチームで仕事をしてもいいし、私のようにフリーでもいい。フリーの場合は、日本でも世界でもどこに住んでいても仕事ができるし、仕事と家事や育児の両立もやりやすい。友人の男性建築家は、仕事をしながら子育てした結果、『家事がわかる建築家』として評価されています(笑)。興味のある人は、ぜひ目指してください。偏差値なんか関係ない。本気でやりたい人を応援します」と福山教授は、仕事の魅力を教えてくれた。

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