「ロボット」と聞いてどんなものを思い浮かべるだろうか?おしゃべりができる人間型ロボットやペットロボット、ロボット掃除機など、暮らしの中でもロボットが増えてきた。さらに多くの産業用ロボットがものづくりの現場を支えている。これらのロボットは、今も日々進化を続けているが、ロボットの機能で、まだまだ人間に及ばない部分はどこだろう。村上教授は「それは手の機能です。人間と動物を分けているのは、頭脳はもちろんですが、器用に物をつくり操る手の能力です。これが、ロボットが人間にかなわない部分。人間の手と同じように器用なロボットハンドをつくりたい、これが私のテーマなのです」と語る。一般に人の手の機能は「持つ」と「操る」に分けられる。「持つ」ことは、比較的簡単で、しっかりつかんで運ぶということは、すでにロボットでも実現できている。一方、「操る」ことは難しい。例えば、鉛筆を「持つ」だけなら簡単だが、それを指でクルクル回すという動作が「操る」だ。人間なら何気なくやれる動作だが、実は極めて繊細で複雑な動きなのだ。
