建築家としてこれまでに、150件を超える住宅、商業施設等を手がけ、多くの受賞歴を持つ矢作教授。意外にも大学入学時は、建築には興味が無かったという。高校時代プロ野球選手を目指していたが夢破れ、日本大学理工学部海洋建築学科に入学したのは「推薦入学で入れたから」。当然勉強にも身は入らない。しかし、大学3年生になる前、大学のツアーでガウディのサグラダファミリアを見て、衝撃を受けた。デザインのすごさはもちろん「設計した本人が亡くなっても、100年もつくり続けている。建築は時間軸を超えたすごい仕事だ」と感じた。それからは、建築が面白くなった。図書館に籠もって本を読み、展覧会に行き、優れた建築を見て回り、建築にどっぷりつかる日々を過ごした。卒業後は、設計事務所で働く傍ら1級建築士の資格を取得。3年後、仕事を辞め、建築教育で世界的に高い評価を得ている南カルフォルニア建築大学に念願の留学を果たし、世界各地から集う若き建築家と共に実践的な学びを深めた。3年半後に帰国すると、すぐに北九州市に設計事務所を構えた。人の縁にも恵まれ順調に仕事を続けながら、大学・専門学校で、非常勤の教職にも就いていた。ただ、非常勤では、4年間一貫した指導できない。そこに物足りなさを感じていたとき、たまたま出会ったのが、九産大の実務家教員の職だった。
