九州産業大学シニア・アート・アカデミア

平成19年度前半

実施期間:
平成19(2007)年5月19日(土)〜
平成20(2008)年1月26日(土)

5回目を迎える今年のシニア・アート・アカデミアは、「絵画の仕組みを知ろう!」をポイントに講座を開設。
日本画、油彩画、版画の3つのコースに分かれ、それぞれの基本的な技法を中心に実際に作品をつくりながらその制作方法を学び、美術館での制作支援や解説ボランティアなどになるための知識を学んでいく。

第1回目 受講説明会・施設見学(2007.05.19)

本年度も九州産業大学ではシニア・アート・アカデミアが開講されます。
開講に先立ち、本日は講座説明会と施設見学会が行われました。
本年度のシニアは、日本画・油彩画・版画の3つのコースに分かれ、それぞれの基本的な技法を中心に実際に作品をつくりながらその制作方法を学び、美術館での制作支援や解説ボランティアなどになるための知識を学んで行きます。
各コースの講師となる学生から、年間の予定や作品制作についての説明が行われると、出席された皆さんは熱心にメモを取っていました。
質疑応答の時間には、制作の難易度などかなり突っ込んだ質問も出て、講座に対する皆さんの興味の大きさを知る事が出来ました。
説明会終了後は、講座で実際に使用するアトリエなどを見学。
実際の作品や制作で使われている道具などの説明もあり、講座で実施されるコースのイメージも膨らんだのではないかと思います。
この後、希望コースの調査などが行われ、次回より講座がスタートします。

第2回目 開講式・制作1(2007.06.02)

本日からいよいよ平成19年度シニア・アート・アカデミアが開講です。
受講生25名と講師・アシスタントの学生9名、総勢34名は気持ちも新たに開講式に臨みました。開講式が終了するとさっそく午前中から各コースで作業がスタート。
油彩画コースではキャンバス(木枠に油絵用の布を貼ったもの)作り、日本画コースでは水張り(木のパネルに日本画用の紙を貼る作業)、講師のよる下図のチェック、版画はコラグラフが行われました。

講師が作ったたくさんの資料や初めて見る・触れる材料を前に、受講生の顔は少し不安気味でしたが、画家のビデオや学生達の作品を見ると同時にやる気はアップ。
早くも「県展を目指す!」という声まで飛び出してきました。
受講生は12月の作品展覧会実施と解説ボランティアデビューに向けて、これから約半年間、作品制作を通し基本的な技法などを学んでいきます。

第3回目 制作2(2007.06.16)

油彩画コースはさっそくりんごとバナナをモチーフに静物画にチャレンジ。
見慣れている水彩絵の具とは性質の異なる油絵の具に受講生は少し戸惑っているようでしたが、講師指導のもと、筆やナイフを使いながら初めての油彩画を楽しんでいるようでした。

版画コースでは前回から制作をしているコラグラフが“刷り”工程に進みました。
インクののせ方次第で何通りも作品が出来上がる版画。
どんな風にインクをのせたら自分の思い描く作品になるのか?
受講生は試行錯誤を繰り返しながら、何度も刷りを行ってしました。

日本画コースは、宿題として出されていた下図を水張りした和紙に写す作業が行われました。
説明会の時から難しいと言われていた日本画ですが、下図をチェックした講師からは「思った以上に良い!」という感想を聞くことができ、受講生もホッとした表情をしていました。

第4回目 美術館見学in福岡市美術館(2007.06.23)

シニア・アート・アカデミア4回目は美術館見学を行いました。
今回の見学場所は、福岡市美術館です。

午前中は日本画、洋画、彫刻、工芸美術、書の5部門にわたる全国巡回の基本作品と、九州・山口・沖縄の地元出品作品約450点で構成される日展を見学。
受講生の皆さんはどの作品も熱心に観ていましたが、実際に自分が制作している作品のコーナーになると、より作品に近づいて観たり一緒に参加していた講師に技法を質問するなど、各自今後の制作のための研究をしているようでした。

お昼を挟んで午後からは、ボランティアによる常設展のガイドツアーに全員で参加しました。
何気なく観ていた常設展の作品ですが、時代背景や作家の当時の心境など解説を聞きながら観るとまた違った一面を発見する事が出来ました。
受講生からは以前から疑問に思っていた事などの質問もあり、始終にぎやかなツアーとなりました。
実際に活躍する先輩ボランティアのツアーに参加した事は、ガイドボランティアを目指す受講生にとって良い体験になったのではないかと思います。

※通常の撮影は禁止となっておりますが、今回特別に福岡市美術館の許可を得て行いました。

第5回目 制作3(2007.07.07)

今年度のシニアも今日で5回目を迎え、どのコースも作品制作に熱がこもっていました。今回は、版画コースの活動を紹介します。

版画コースでは、本日から銅版画がスタート。
まず、講師が複雑な工程を分かりやすく図を用いながら説明を行いました。
受講生は、メモと取りながら時に質問を行うなど熱心に耳を傾けていました。
説明が終了するとさっそく版の制作開始。
少し難しいかな…と予想していた講師陣ですが、あっという間に版が完成。
受講生の呑み込みの早さに講師陣も美術館スタッフもびっくり!
本日は版の完成で終了の予定でしたが、版が出来たら刷りたくなるのが版画です。
そこで急遽試し刷りが行われることになりました。
一枚目が刷り上がる頃から、版画室のあちらこちらで「先生、見て!」という大きな声が上がり、受講生の『ちゃんと評価を受けて、しっかりと自分の作品を作る』という強い思いを感じる事が出来ました。
受講生間でも自分の課題を他の受講生に教えるなど活発な意見交換が行われ、作品の完成度追求に余念がありません。次回は試し刷りで分かった問題点などを改良し、本格的に銅版画の刷り作業に入る予定です。
また、待ち時間中に簡単に出来る“モノタイプ”という技法にもチャレンジした受講生。
すっかり版画の魅力に惹きつけられているようでした。

第6回目 制作4(2007.07.28)

本日で6回目を迎える本年度のシニア・アート・アカデミア。
今回は日本画コースを紹介します。

墨などあまり絵を描く時には使った事のない材料を使用していた日本画コースも前回より絵の具が登場。と言っても、着色はまだまだ先の話で今日は着色に向けての準備作業のようです。

日本画では、前回下絵を描いたキャンバスに下地となる色を塗っていました。
(下地の色は、完成が明るい絵になる時は青を、暗い絵になる時は黄色を塗ります)
この下地の色によって見え難くなった下絵を水干絵の具(黄土色や青色を使用)で色分けし、着色をしやすくするため作業が本日の作業です。
受講生達は緊張した面持ちで、細い筆・平筆など、数本の筆を使い分けキャンバスに色を乗せていました。

今回使用する日本画の絵の具は、水彩絵の具などとは違いチューブから直接出てくるものではありません。乳鉢を使い、それぞれの色の粉と膠を調合しながら自分で溶いて作ります。
水彩画や油彩画の経験がある受講生も、この作業は初めての体験のようで、1つ1つの作業を受講生同士で確認しあう姿が度々見られました。

本日の講座では、勉強のためにと他のコースも見学。
油彩画コースが緑や赤などたくさんの絵の具を使い、色鮮やかな作品を作っているのに対して、何だか日本画のキャンバスは寂しいな…と感じた受講生も多かったようです。しかし、「このまましっかり制作をすれば、他のコースの負けない作品になる!」という講師の言葉に「頑張りましょう!」という頼もしい声があがりました。
下地が準備出来るといよいよ岩絵の具での着色が始まります。
どんな色合いの作品が出来てくるのか、今からとても楽しみです。

第7回目 制作5(2007.09.08)

平成19年度シニア・アート・アカデミア第7回目は油彩画コースを紹介します。

“絵を学ぶ”=油彩画と想像する方も多いのではないでしょうか。
本年度開講された3コースの中でも一番親しみやすい講座のようで、他のコースと比べると受講生の表情もどこかリラックスした表情にみえます。

油彩画の特徴は、なんと言ってもあの色鮮やかな油絵の具です。
講座が始まると真っ白なパレットはあっという間にカラフルな色に染まり、見ているだけで明るい気分になってきます。そんなカラフルな絵の具とは反対に、アトリエはしんと静まりかえっています。
筆のこする音が響くアトリエで、受講生はイーゼルを立て真っ直ぐキャンバスに向かい、黙々と制作を続けています。
重ね塗りをしてみたり、1つの色をたっぷりと使い絵の具を盛り上げてみたり…じっと考え込む姿も見られ、ひとりひとりじっくりと作品制作に取り組んでいるようでした。
講座中は、他の受講生の作品を見たり図書館で画集を見たりと、実際に“描く”だけではなく“見て”学ぶという事も行われていました。

第8回目 制作6(2007.09.22)

平成19年度シニア・アート・アカデミア第8回目は版画コースを紹介します。

前回から銅版画にチャレンジしている版画コースですが、今回が銅版画最後の回という事で、皆さんいつも以上に真剣な表情です。

一枚刷っては講師と作品の出来をチェックする受講生。
この時、講師からのアドバイスを待つだけではなく、自分から「ここはこうした方が良いよね」とアイディアを出す姿や、「こんな風にしたいけれど、どんな技法がいい?」と積極的に質問をする受講生の姿を多く見る事ができ、しっかりと自分の中に『こんな表現がした!こんな作品が作りたい!』という考えを持って制作をしているようでした。

今日まで様々な版画の技法にチャレンジしてきた版画コースは、いよいよ次回より展覧会に向けての作品作りがスタートします。
版画コースは今まで勉強してきた技法(銅版やコラグラフなど)の中から、自分が一番興味のある技法を使って、作品制作を行います。

九州産業大学シニア・アート・アカデミア