九州産業大学シニア・アート・アカデミア

平成18年度前半

実施期間:
平成18(2006)年6月10日(土)〜
平成19(2007)年1月27日(土)

本年度で4回目を迎えるシニア・アート・アカデミア。
今年は、より地域に密着した芸術支援ボランティアの育成を目的とした講座を開設。
身の回りにある材料を使って、子ども達がアートを楽しむための体験活動プログラムのアイディア開発を行う。また、「西洋美術史」「ヒトとアートの関係」など本学芸術学部の教員による、より専門性の高い内容の講義も実施。

第1回目 開校式・オリエンテーション(2006.06.10)

今日からいよいよ平成18年度シニア・アート・アカデミアが開講します。
今回は、身近な材料でどれだけ楽しいワークショップが出来るかがポイントです。

今日は初回という事で、受講生と講師・アシスタントの交流もかねてレクリエーションとタイムカプセル作りを行いました。
レクリエーションは、山本先生のご指導にもとみんなで元気に身体を動かしました。
最初は恥ずかしがっていた受講生も、だんだんと山本先生の世界に引き込まれ、最後にはみんな笑顔で楽しんでいました。
お昼を挟んで午後からはタイムカプセル作りを行いました。
そこでは受講生の皆さんに修了式の自分へ手紙を書いていただきました。
受講する上での目標の再確認とともに「よし、頑張るぞ」という気持ちが高まったようです。
このタイムカプセルは来年1月27日修了式の祭に開封します!
本日の講師は、上野小学校の山本徳和先生です。

第2回目 講義・実技演習(2006.06.24)

いよいよ講義と実技が入り、講座が本格的にスタートします。
午前中の講義は、本学芸術学部美術学科の井上友子教授による「西洋美術史概論」です。
西洋美術と切っても切れない関係である宗教画を「天使」の絵というポイントから歴史をおって分かりやすく講義をして頂きました。

午後からは、実技「ちがいを合わせて物語にしよう」です。
こちらは、最初の実技という事で水彩絵の具を使用して絵を描く事から始めます。
この実技のポイントは、最後に各個人て描いていた絵を班で一つの大きな絵にするというところです。それぞれ個人て自由に描いていた一枚の絵が、みんなと合わせる事で新たな世界が生まれ一枚一枚の絵が物語の一場面なってきます。
参加した受講生は、はじめグループみんなで考えるという事に少し戸惑っていましたが、みんなの絵を観ているうちに色々と新たなイメージが浮かんできたのか、最後にはどの班もおもしろい物語が出来上がっていました。
発表を聴きながら受講生の方からは笑いが起きていました。
本日の講師は、九州産業大学芸術学部 美術学科 井上友子教授です。

第3回目 実技演習(2006.07.08)

今日は、前回の実技で行った「ちがいを合わせて物語にしよう!」を受講生が子ども達に教えるミニワークショップの日です。

午前中は、前回の作業の復習と子ども達へ指導するにあたっての注意点などの確認作業や教室のセッティング・道具の準備などを行いました。
お昼が終わると、いよいよミニワークショップの開始です。
子ども達のあまりの元気のよさに最初は圧倒されていた受講生も、積極的に子どもに話しかけ教えていました。子ども達も受講生の説明を聞きながら、机いっぱい広がる大きな画用紙に夢中で描いていました。
みんなの絵を1つの絵にすると、とても不思議でおもしろい作品に変身。
みんなの絵を合わせた大きな作品を観ながら、受講生のリードで子ども達はみんなでお話を考えました。
ミニワークショップの終わりは作品発表です。
どの班もとても面白い物語が出来上がり、笑いに溢れた発表会となりました。

第4回目 バスハイクin長崎(2006.07.15)

平成18年度シニア前半を締めくくるのは、長崎バスハイクです!
今回は、長崎に完成した新しい施設、長崎歴史文化博物館と出島を見学しました。

長崎歴史文化博物館では、復元された長崎奉行所立山役所の建物をみながら、長崎奉行所の役割や機能、奉行所をめぐる歴史的事件などを知る事が出来ました。
出島では、当時の建物が復元され、異国の香りに満ちた当時の長崎を感じつつ、歴史的資料や建物復元の資料を見る事で出島誕生から終焉までの歴史を勉強する事が出来ました。

第5回目 講義・実技(2006.09.16)

午前中の講義は、本学芸術学部写真学科の佐野彰先生をお迎えしての講義・演習「ヒトは何故表現するのか?」です。
二人一組で、片方の人が目を閉じ、もう片方の人が目を閉じている人を誘導してコミュニケーションにとって重要なことは何かを考えるブラインド・ウォークや紙に書かれた図形を言葉で伝えていく作業といった講義・演習を通して、「表現をする」ということはどういうことかを考えました。
〜表現には必ず対象があり、そこには「つながり」が生じている、そしてその「つながり」があるところには「意味」が存在する。
その「意味」を作り出すために私たちは表現しているのかもしれない〜表現の難しさを改めて感じさせられる講義となりました。

午後からは、実技「ちぎり絵で思い出を描こう!」です。
「夏休みの思い出」というテーマでちぎり絵を作りました。ちぎり絵に使う紙は新聞紙や広告紙、包装紙など、普段の私たちにとって身近な素材を使いました。今回は、厚めの紙や薄い紙など、さまざまな紙を使うことで紙の手触りを感じてもらい、視覚だけでなく「感覚」をフル回転させます。
最初、受講生の皆さんは、どんなふうにしようかわいわいお話ししながら紙を選んでいました。ところが、制作に入ると真剣な表情で集中して、紙をとても細かくちぎり、素材の違いを活かして作品を完成させていました。発表では、出来上がった作品を壁に展示し、それぞれの夏休みの思い出を語っていただきました。
次回は子どもたちを迎えてのワークショップです。受講生の皆さんの成果が発揮できることをを期待しています!
本日の講師は、九州産業大学芸術学部 写真学科 佐野彰先生です。

第6回目 実技演習(2006.09.30)

9月8日(土)第8回シニア・アート・アカデミアが開催されました。
朝から天候にも恵まれ、絶好のワークショップ日和となりました。
今日は、午後から子どもたちを迎えて、ミニワークショップを行います。
午前中は、午後からのミニワークショップに向けての準備を行いました。
今回のテーマは「ちぎり絵で思い出を描こう!」。
前回のちぎり絵制作の反省点などをふまえ、どのように子どもたちと、ちぎり絵制作を進めていくかを学生講師らも交えて話し合いました。
午後からは、子どもたちがやって来る時間です。元気いっぱいの子ども16名が集合。
緊張して受付に入った子どもたちも受講生の優しいお出迎えにホッとした様子でそれぞれの班に入りました。
さっそく、ミニワークショップが始まりました。
まずは受講生が、ちぎり絵の説明。それから制作に入ります。
子どもたちは紙の素材をじっくり見比べ、一つ一つ丁寧に紙を貼っていました。
そして、花火大会や、海、自分が見た夢など、バラエティーに富んだ作品を制作していました。発表では、恐竜博物館に行ったこと、ポケモンの映画を観に行ったことなど、夏休みの思い出もたくさん話してくれました。
「いろんな種類の紙を使い、1枚の絵の中でいろいろなお話しが出るんだね」と受講生をはじめ、学生講師・アシスタント、私たちスタッフも、みんなで感心していました。
最後に受講生の皆さんからも「制作が進まなかった子も、最後にはちゃんと仕上がっていた」と、子どもたちが頑張っていたという講評がありました。
子どもたち、受講生の皆さん、今日のミニワークショップはいかがでしたか?
受講生の皆さんも今日のワークショップについて、良かった点、悪かった点、いろいろなことを感じたと思いますが、次にそれを活かせるように頑張りましょう!

第7回目 講義・実技(2006.10.14)

第7回の今回は、平山隆浩先生をお迎えして「表現するための素材を知ろう」をテーマに講義・演習を行いました。午前中は講義「美術表現素材論」。
まずは、ちょっとしたものやことにふと気付くことのできるやわらかい感性を持とう!ということで五感についてのお話しがありました。
その後、自分自身が素材になり表現するということを学びました。
芸術=表現することならば、私たちは生きること自体芸術である。
そして、顔の筋肉をほぐし、七色の声を出すことが表現の基本でる…ということで二人一組になってお互い面白い顔をしたり、みんなで笑ってみたりして午前中の講義が終了しました。

午後からは「美術表現演習」。
前回、紙袋にゴミ(お菓子の空き箱、ペットボトル、卵のパックなど)を集めてきてくださいという課題を出していました。今回はそのゴミを使って「お面」を制作します。
なんでもないモノや身近なモノを使い、ちょっとした工夫と応用で自分だけの世界、「くらしカルアート」(くらしの中の文化〔カルチャー〕という意味の造語です)な世界を作るため、皆さんにはゴミを持参してもらいました。受講生はビール瓶の蓋や、フロッピィー、カセットテープなどを厚紙に貼りつけ、自分らしいお面を制作していました。
最後は発表会。
班ごとにお面をつけてみんなの前でお面の名前を発表してもらいました。
アフリカの魔術師や舌出し小僧、サラリーマンなど、いろんな名前がでるたびに教室から笑いがおきていました。

第8回目 実技演習(2006.10.28)

第8回の今日は、午後から子どもたちを迎えてのミニワークショップ「色々な素材で色々な表現!」が開催です。今回は前回と同様、お面を作ります。
午前中は、ミニワークショップの準備。受講生は班になって、午後から来る子どもたちにどう指導していくかを話し合いました。進行の仕方やお面を作る際の刃物の使い方、発表の仕方など、入念にチェックしていきました。

お昼を済ませると、さっそくミニワークショップが始まります。
今回は25名の元気な子どもたちが参加してくれました。子どもたちが教室に集まり、席に着くと、まずは受講生が、前回作った自分のお面をかぶって登場。子どもたちは、突然お面をつけて登場した受講生たちに最初は驚いている様子でしたが、徐々に「あのお面が好き」などと楽しそうに話し始め、お面をつけた受講生たちに釘付けになっていました。制作が始まると、子どもたちは自分で持ってきたお菓子の空き箱やコルク、使わなくなったおもちゃなどを、どこに貼っていくか試行錯誤しながら制作していました。
最後は発表会。班ごとにお面をつけて教壇に上がってもらいました。
すずうさぎさんや王冠ロボット、ベースボールロボなど個性的なお面がたくさん登場しました。なかには、ほっぺにメッセージが入るようになっているクマさんや表が緑色で、裏が黄色のリバーシブルお面、お面と一緒に剣まで制作した子どももいました。
子どもの創造力はすごいなと改めて感じさせられました。受講生も発表会の際は、上手くフォローし、「どこが難しかった?」と問いかけながら子どもたちの考えを引き出していました。
今回も楽しい発表会となりました。

九州産業大学シニア・アート・アカデミア