離島航路の調査・研究で離島の人々の暮らしを支えたい
行平 真也 准教授
地域共創学部 地域づくり学科

 大分県職員として地域振興に携わっていた経験を生かし、離島航路の維持・確保について研究。日本中から離島航路に関する課題が持ち込まれているという行平准教授に、その課題解決のサポートや学生の研究に関する詳しいお話を伺いました。

行平准教授のこれまで

船に対する幼い頃からの思いと
地域振興に携わった経験が拓いた道

 物心ついたときには、すでに船が好きでした。きっかけは覚えていないのですが、父方の祖父が大分県国東市で漁師をしていたので、小さな頃から船や海が身近だったのだと思います。大学は水産学部に進み、大学院にも進学しましたが、途中で大分県庁の採用試験に合格したため修了前に入庁。水産振興課や水産研究部などで業務に携わり、地域と深く関わる楽しさを知りました。そうした中でも研究は続けており、縁あって大学院に入学。博士号を取得することもできました。
 大分県の職員を退職した後は、山口県の周防大島町にある大島商船高等専門学校で商船学科の教員として、「フェリー利用者の交通行動分析」の研究をしていましたが、「九州に戻りたい」と考えていたことから九州産業大学に籍を置くことになったんです。現在は「離島航路の維持・確保」について研究していますが、これまでの経験がすべて生かせる私ならではのテーマだと自負しています。といっても現在の研究は、自らテーマを決めて取り組み始めたものではありません。フェリーの研究を離島航路に広げられないかと、離島航路を持つ自治体からの依頼を受ける形で始めたのがきっかけでした。
 離島に住んでいない人には想像しづらいかもしれませんが、「もし、毎日使っているバスや電車が突然なくなったら」と考えてみてください。高齢者は病院に行きにくくなり、学生は通学が難しくなるでしょう。航空路のない離島では、本土と島をつなぐ交通手段が基本的に船しかないため、問題はより切実です。人の移動だけでなく、食料品や生活物資の輸送、仕事の通勤、観光客の来島など、離島航路の維持・確保は島の暮らしと地域経済のさまざまな面に関わってくるのです。

行平准教授のプロジェクトについて

離島航路に関する研究を通して
学生たちにも地域振興の経験を

 自治体などからのニーズに応じて調査・研究を進めることが多く、現在は大分県津久見市の保戸島や鹿児島県奄美群島の喜界島の航路について調べています。どちらかといえば「研究をしている」というより「課題解決のためのアドバイザー」という感覚かもしれません。ひとつの自治体や事業者だけで悩んでいても、なかなか解決への糸口が見えません。しかし、他の自治体や事業者で似たようなケースがあれば、両者をつなぐことで解決への道のりが早くなります。これには大分県職員時代の経験が生きています。経歴を生かした強みだと思います。
 ゼミでも学生たちと離島航路や離島振興に関わる活動をしていますが、フィールドにしているのは宗像市の大島。大島では観光客の減少も課題になっていますが、その課題解決のために「大島・地島!魅力発信プロジェクト」を実施しています。「宗像市元気な島づくり事業補助金」に採択され、学生たちは船に乗り慣れない人でも気軽に船旅を楽しめるよう、乗船方法や両島での移動手段、観光スポットなどを紹介したパンフレット「ちょっと船旅!」を制作。九州産業大学はコミュニケーション力に長けている学生が多いので、プロジェクトを通して島の人たちとすっかり仲良くなり、それぞれが島の人たちと交流しながら活動を楽しんでいるようです。宗像市のターミナルには、島の高校生が船の待ち時間に宿題をすることができる自習スペースができているのですが、それも、学生のアイデアがきっかけの一つとなっています。また、船だけではなく2025年10月から島内を走っているAIを活用した新しいオンデマンドバス「のるーと」のマップを作成しました。そうした活動を通して、航路利用者を増やしていきたいというのが狙いです。

今後の活動・目標について

全国の自治体や航路事業者の
思いに応えられる研究者に

 この研究は、離島で暮らし続けるための交通基盤を守ることに貢献できると考えています。今後、人口減少や船員不足がさらに進むと、航路を維持することが難しい地域が増える可能性があり、そのときにどのような準備が必要なのかを考えておくことは重要です。
 私の研究では、実際の航路の事例を調査し、航路維持の課題やそれに対する取り組みを整理することで、将来同じような課題に直面する地域に役立つ知見を示したいと考えています。現在、全国各地から離島航路に関する相談を受けている状態なので、まずはそれにしっかり応えられる研究者になることが目標です。今後もさまざまな形で離島航路に関する課題解決のサポートができればと思っています。特に自治体の実情に基づいた、現場に寄り添った研究を続けていきたいですね。
 学生たちには、規模は小さくても、自治体の施策に直結する地域振興の体験を積んでほしいなと思っています。大島・地島のパンフレット「ちょっと船旅!」も宗像市の公式パンフレットになりましたが、そんな風に「自分たちの考えたことが実現する」ことにたくさん取り組んでほしい。そのためには机に向かっているのではなく、現場に行くことが大事です。まずは体を動かし、現場で話したり聞いたりすることの大切さを伝えていけたらと思います。

  • Q.趣味はなんですか?
    鶏の唐揚げを作ること
    毎週、いろんなレシピを試してます。
  • Q.好きな食べ物は?
    鶏の唐揚げ
  • Q.座右の銘を教えてください
    やらない後悔より、やって大成功
  • Q.「九産大生」の印象は?
    素直で行動力がある