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トーナメントと賃金・昇進制度

経済学部 経済学科
学びのキーワード
  • 賃金制度
  • 序列競争
  • 努力の限界費用
  • 逓増
  • インセンティブ

講義ポイント①

皆さんは、「経済学」と言われるとどのような学問領域だと思われるでしょうか。この質問に対するよくある答えとして、「経済学は『おカネ』に関する学問だ」といったものが挙げられます。もちろん、『おカネ』に関する内容も経済学では扱いますが、それは経済学のごく一部です。
では、経済学とはどのような学問領域なのでしょうか?簡単に言えば、経済学とは「与えられた条件の下で、人や企業がどのように行動するのかを明らかにする学問領域である」と言った方が、より実情に近いものとなります。
私の専門である「労働経済学」であれば、「働くか、働かないか」「(企業の立場で)何人雇うべきか」「賃金制度はどう決まるか」などを分析しますが、今回は、「賃金制度はどう決まるか」に着目します。

講義ポイント②

今回は、「賃金制度はどう決まるか」に関し講義を行いますが、その際に取り扱う事例は、テニスのウィンブルドン選手権(全英オープン)です。テニスのウィンブルドン選手権のような個人競技のトーナメント戦では、順位が上がっていく(トーナメントを勝ち上がっていく)ほど、勝った時と負けた時のそれぞれの場合に受け取る賞金(賃金)の金額が大きくなっていきます。
なぜ、このような賞金制度が設計されているのでしょうか?これを理解するためには、「努力の限界費用が逓増する」という事実と、大会主催者側の「決勝などのトーナメント終盤程、『盛り上がって』欲しい」という事実を確認する必要があります。

講義ポイント③

ここまでの話を企業で働く人に応用した場合にはどうなるでしょうか。仮に、「昇進した場合に大きく賃金が上昇する」という賃金制度を設計したとします。確かに、この制度の下では社員は物凄く努力をしてくれるかも知れません。しかし、企業の事例ではテニスの事例と異なる部分も多くあるために、簡単にそのような賃金制度を導入することはできません。しかし、賃金制度の設計に当たって、テニスの事例は「ヒント」を与えてくれていることは確かです。
このように、経済学では「人がどのように行動するか」を理解した上で、システムの設計などを行うことができると言えます。

経済学部 経済学科

髙橋 主光 先生
専門:労働経済学
  • 講義内容がめざすSDGs