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未来を拓く超伝導: 基本特性から応用まで

理工学部 電気工学科
学びのキーワード
  • 超伝導
  • 電子物性
  • 電気抵抗ゼロ
  • 完全反磁性
  • 磁束ピン止め
  • 磁気浮上
  • ナノ構造超伝導体
  • 臨界電流密度
  • 地球温暖化防止
  • 省エネルギー

講義ポイント①

超伝導とは?

超伝導とは、物質や材料を極低温まで冷却した時に電気抵抗が急激にゼロに低下する現象です。私たちの身の回りにある金属、半導体、絶縁体はすべて有限の電気抵抗を持っていることを考えると、超伝導体は電気抵抗ゼロという他の物質にはない「超」機能を持つことが分かります。 講義では、電気抵抗が発生する機構を考察し、ジュール熱 (エネルギー損失) なしで電流を流せる超伝導体の特性を生かした応用例 (送電線、超伝導電磁石、電力貯蔵) を説明します。様々な超伝導体の中には、すでに応用に用いられている超伝導体もありますが、さらに優れた特性を持つ超伝導体の開発を目指した研究が行われています。

講義ポイント②

超伝導機能を支える磁束ピン止め効果

電気抵抗ゼロ以外にも超伝導の重要な性質として完全反磁性や磁束の量子化などがあります。第2種超伝導体と呼ばれる超伝導体に磁石を近づけると量子化磁束が超伝導体に侵入し、(完全ではありませんが) 反磁性の状態と共存します。この量子化磁束は超伝導体内の欠陥にピン止めされますので、超伝導体は磁石に反発しながら安定に磁気浮上できます。講義では磁気浮上実験を実演しますので、反磁性と磁束ピン止めによる超伝導体 (または磁石) の磁気浮上動画を楽しんでください。磁束ピン止め効果は、磁気浮上の安定性だけでなく、磁場中の超伝導体に電流を流す応用にとっても不可欠であり、磁束ピン止め効果を高めることが超伝導の開発にとって重要なカギになります。

講義ポイント③

高性能超伝導体の開発から応用へ

磁束ピン止め効果が強く応用に適した超伝導体としてナノ構造超伝導体に着目して研究を行っています。その例として、巨大ひずみ加工でナノスケールまで結晶粒を微細化した超伝導体の物性と特性評価について実験結果と研究設備 (電気特性測定装置と磁気特性測定装置) を紹介します。磁気特性測定装置は物質の磁気モーメントを精度良く測定する装置ですが、超伝導を応用した高感度センサー (SQUID素子) や超伝導電磁石を利用しています。超伝導の応用は、超伝導リニア新幹線やMRI (画像診断装置) が有名ですが、その他にも、世界中で開発が行われている超伝導の様々な応用を紹介します。超伝導技術によって拓かれる未来、楽しみですね。

理工学部 電気工学科

西嵜 照和 先生
専門:低温電子物性、超伝導
  • 講義内容がめざすSDGs