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医薬品や化粧品の機能はどのようにして生み出されているのか?

生命科学部 生命科学科
学びのキーワード
  • 薬・医薬品
  • ニキビ
  • 紫外線
  • 分子
  • 抗菌
  • 日やけ止め
  • 化粧(メーク・コスメ)

講義ポイント①

医薬品や化粧品、素材の重要性

医薬品や化粧品の機能を決めるのは素材の物性(物質の持つ性質)です。素材は自然由来のものもあれば、合成されたものもあります。例えば、ニキビ治療薬の主成分はイオウです。イオウには殺菌作用があります。皮膚で分泌された脂質を栄養とするアクネ菌を殺すことでニキビが治ります。また、アクネ菌がたまると皮膚が炎症して赤くなります。この症状を抑えるのは、抗炎症剤です。薬の効果はこのような薬剤によってもたらされますが、実は薬剤以外の添加剤も含まれており、それも重要な役割を果たしています。

講義ポイント②

体の仕組みや光の性質など、周辺知識も重要

口から服用する薬は、薬の外側がデンプンなどの素材でコーティングされています。これは薬が体内の目的の場所で溶けるようにするためです。また、注射による患者の負担を減らすために、皮膚に貼って体内に吸収させる経皮吸収型製剤というものもあります。大きな分子は皮膚からは吸収されないので、この薬では小さな分子の素材が添加剤として使用されています。また、化粧品の日やけ止めクリームは、日やけの原因となる紫外線が皮膚に届かないようにする働きがあります。これは、紫外線を吸収する有機物や酸化亜鉛や酸化チタンのような、太陽光を反射させたり散乱させたりする無機物が利用されています。

講義ポイント③

物性の理解が新しい製品を生み出す

皮膚に潤いを与える化粧品もあります。この化粧品には、単糖が数多く連なった「多糖体」という高分子が利用されます。これには、分子構造から水分を抱え込む性質があります。ソフトクリームの材料にも使われ、ネバネバしています。ところが、多糖体は微生物の汚染を受けやすいので、殺菌効果をもつ物質を入れることで、抗菌性も同時に持たせようという化粧品が開発されています。
薬剤や化粧品を開発するには、さまざまな物質の性質や複数の物質の組み合わせでどういう効果が得られるかについての分析や研究が欠かせないのです。

生命科学部 生命科学科

迎 勝也 先生
専門:生命科学、生命化学、応用化学