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乗り物の未来を左右するワイヤレス給電技術

理工学部 電気工学科
学びのキーワード
  • 自動車
  • 化石燃料
  • 蓄電池
  • 環境
  • 給電
  • 電気
  • ワイヤレス
  • コイル
  • インバータ
  • 乗り物
  • バッテリー

講義ポイント①

化石燃料から蓄電池へ

自動車や輸送用機器といった移動体の燃料は、ガソリンなどの化石燃料からより環境負荷が低い蓄電池へと変わりつつあります。リチウムイオンバッテリーをはじめ電池の性能は大幅に向上しましたが、電池に電力を供給する方法は有線方式が主流です。安定的に大量の電気を供給できる半面、ケーブルをコンセントに抜き差しする手間や、使用者の安全対策といった課題もあります。スマートフォンではワイヤレスで給電できるものも登場しましたが、これを大型の移動体にも応用しようという研究が世界中で行われています。

講義ポイント②

停車中に自動で充電

現状の電気自動車への給電は、EVスタンドから伸びる給電ケーブルをつないで行います。これをワイヤレスにするため、駐車スペースの地面に送電コイルを、自動車の底面に受電コイルを設置し、その位置を合わせて停車するだけで給電する仕組みが研究されています。これにはコイル内の磁場が変化することで電流が流れる「電磁誘導」という仕組みが応用されています。給電には、電気を直流から交流に変換する「インバータ」という装置が使われますが、このインバータの性能が成功のカギを握っており、より効率よく、また電磁ノイズの発生も少ないインバータの開発が急がれています。電磁誘導方式には、送電コイルと受電コイルの距離が一定以上空くと給電効率が下がるという課題があります。最新の研究では停車中に大電力を供給することに成功した事例もあります。

講義ポイント③

移動体の可能性を広げる

また、少し時間がかかりそうですが、走行中に給電するという技術も研究されています。移動体のワイヤレス給電が実用化されれば、給電の手間が改善されるだけでなく、こまめに給電できるようになります。そうなるとバッテリーを小さくできるので、より多くの人や荷物を載せることも、移動体自体をより小型化することもできます。このように、ワイヤレス給電は環境負荷の低減だけでなく、誰も見たことのない未来の乗り物をつくる鍵をも握っているのです。
参考資料1:高効率・低電磁ノイズ電力変換回路に関する研究(小倉研究室)

理工学部 電気工学科

小倉 弘毅 先生
専門:電気工学、電力工学
  • 講義内容がめざすSDGs