— これまでどんな仕事を手がけられましたか ?
林田
若い頃はトヨタのスポーツカー・セリカの部品や5代目カムリのフロント周り、ガルウィングのセラの製品化などを手がけました。最近はGAZOO Racingのロゴリニューアルやレース車両のラッピングデザイン、新型プリウスプラグインハイブリッドのナビ画面のデザインなど幅広く仕事をしています。
徐
私はエスクァイアのリアデザインを手がけました。入社したてでいきなりアイデアが採用されたのでビックリしました。数年後のモデルを開発するチームに所属していて、やりたい放題好きにデザインをしています(笑)
川島
マークXのカラーを手がけました。カーデザインだけではなくロゴやグラフィックなども手がけながら日々勉強中です。
— 九芸で学んだことは?
徐
人とのコミュニケーション能力ですね。私は中国からの留学生だったので最初戸惑ったのですが、九芸の自由な雰囲気の中で同じカーデザイナーを目指す仲間たちと切磋琢磨する中で自然と身についていきました。
林田
そうそう、九芸って昔から学生の好きなことをとことんやらせてくれる雰囲気があるよね。私もカーデザイナーになりたいという明確な目標があったのですが、朝から晩まで教室にいていろんな課題に取り組んでいました。クルマだけではなく幅広くプロダクトについて学べたので、それが今とても役立っていると思います。
川島
私も九芸の自由な空気の中で、産学連携のプロジェクトなどいろんなことにチャレンジしました。私がデザインした器を高取焼の職人さんに焼いてもらい、フランスとイギリスと日本でどんな反応の違いがあるか実際に現地に行ってヒアリングをし、それを卒業制作にしました。
林田
川島さんは行動力があるね(笑)それと、モノづくりをする前にきちんとコンセプトを立てるということも学びましたね。デザイナーはただ絵を描けばいいというものではなく、お客さまのニーズをつかみコンセプトを立てて具現化し、自分がなぜそのかたちや色にしたのか説明(売り込み)しなければなりません。今でも制作途中で迷いが出たらコンセプトに立ち戻るようにしています。
— どうしたら先輩のようになれますか?
徐
川島さんのように九芸でいろんなことにチャレンジすることですね。九芸はカーデザインという授業はありませんでしたがプロダクトを幅広く学んでいたので、就活でもカーデザインオンリーで学んできた専門学生には負けませんでした。
林田
夢を持ちやりたいことを見つけ、それを貫き通すことが大事。それと、その時々に応じてセンスを磨き続けることだと思います。授業だけでなく、美術館に行ったり街の空気を感じたりいいモノに触れたり。お金はなくてもちょっとした工夫で、自分のセンスを高めることができます。
— 今後どんなお仕事をしていきたいですか?
川島
私は好奇心旺盛なので、カーデザインはもちろんロゴデザインなど貪欲にやっていきたいと思っています。
林田
私もいろんなカテゴリーのデザインをしたいと思いますが、後進の指導にも力を入れていきたいですね。
徐
僕は大好きなカーデザインをとことん突き詰めたい。今の流行りに合わせるのもいいですが、30年後若い人たちが見てもカッコイイなと思ってもらえるクルマを世に送り出したいと思っています。
— 最後に九芸を目指す学生たちにメッセージをお願いします。
川島
デザインでも自分の興味ある分野だけに固執することはもったいないと思います。絵画でも工芸でも写真でも視野を広くしていろんなものにチャレンジしてほしいですね。
徐
自分を持つことが大事だと思います。周りの意見に耳を傾けることは大切にしなければなりませんが、流されては駄目。自分がやっていることは間違いないと貫き通す姿勢を持つことが社会に出てからも役立つと思います。
林田
やっぱり夢を持ち好きなことを早く見つけることが大事だと思います。私は小さな頃スーパーカーブームというものがあって、クルマのカッコよさや素晴らしさに目覚め将来は絶対カーデザイナーになると決めここまできました。自分の好きなことであれば苦にならない。自然と楽しみながら身につけることができると思います。
画像はトヨタHPより