大学院[芸術研究科]GRADUATE SCHOOL
高度な専門性と芸術領域を横断する幅広い視点から次代の芸術文化にアプローチする。
経済・国境・文化のボーダレス化、科学技術の急激な進展などを背景に、芸術の世界も旧来の境界線を越えマルチプルに融合することで、表現の可能性を大きく広げています。本学の芸術研究科は、そうした社会のニーズや芸術の新たな動向を見据え、「芸術表現」「デザイン」「写真・映像」の3領域について専門的かつ学際的に探究。未来のクリエイティブリーダーを育む理想的な芸術研究の場がここにあります。
福田 澪
Robert David Platt研究室
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大学院進学後、内面を作品に投影できるように 学部時代より、自身の作品や課題に求められるクオリティが数段上がる場所。それが大学院だと思います。作品のコンセプトも重視されるため、手を動かすだけでなく、自分の制作意図を整理して言語化することにも取り組む日々です。そんな経験もあり、最近は自分の作品がどう受け取られてほしいのかを意識できるようになりました。大学院の授業は少人数で行われ、先生と対話する時間、先生からいただく講評もかなり充実しています。そこで投げかけられた言葉を自分なりに噛み砕き、さらに自分の内面があふれる表現につなげていけるよう努めています。また先生はとても親身な方ばかり。活動のサポートも充実しており、2023年のアートフェアアジア福岡(AFAF)へ出展する機会もいただきました。ギャラリーへ作品を紹介してくださることも多々あります。大学院生である今が一番成長できる時です。制作にどっぷりと浸りながら常に考え続け、一歩ずつ地道に進んでいきたいです。
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『peel off .2』
渡久地 祐弥
前田研究室
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「UBEビエンナーレ」に出展する彫刻を制作中 高校卒業後、九州産業大学国際文化学部に入学し、3年次までに必要な単位をすべて取得しました。そして、4年次では他学部の科目を履修できる制度を使って、九芸の芸術表現学科立体造形専攻で彫刻を学ぶように。国際文化学部を卒業した後、思う存分に制作する環境が欲しくて九芸の大学院に進学しました。以前より自宅でフィギュアやオブジェを制作していたのですが、自宅の環境にはやはり限界があります。その点、大学院進学後は3〜4mほどの大型の作品にも挑戦できるようになり、表現がぐっと広がったのを感じています。また、2023年9月に応募した「UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)」では入選することができ、これから実物大の作品の制作に取り掛かっていきます。絵画や映像と違い、空間の中に必ず実物が存在するのが彫刻の強み。これを追求しながら、自分の表現を磨いていきたいと思います。将来は海外移住が目標。新たな環境に刺激を受けながら制作に打ち込んでいきたいです。
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『Mellow』
水本 了
渡抜研究室
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大学院はずっと芸術に触れていられる場所芸大生全員の共通目標は、自分だけの表現の獲得です。自分も日々、自分の表現とは何か?を探し続け、大学院に進学した夏に今の作風をつかむことができました。源流にあるのはデッサンの代わりに描いていた、筋肉や骨の線画です。下書きはせずに、内側から溢れ出るものを布にぶつけるように描き、一発でこれだ!と仕留める感覚。緊張感と疾走感をもって描くのが、今の自分の表現です。九芸では大学院生になると自分だけのアトリエが与えられるため、より自分と向き合い、自分の表現を探す環境が整います。また芸大生の大先輩であり、作家活動もされている先生のアドバイスもいただけます。大学院生はとにかく四六時中芸術に触れていられます。大学で芸術を学ぶことは世間一般から見れば異端です。言ってしまえば変なこと。でも他では得られない体験が待っています。変というのは芸術では評価されるものです。変を突き通して、ぜひ自分の宝にしてください。
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『Cigarette horses』
山下 智史
百瀬研究室
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自分の引き出しをもっと増やして、作品完成度を高めたい幼い頃から鉄道が好きで、高校時代に一眼レフを持って日本全国を撮影してまわる旅へ。そこから本格的に写真への興味を深めてきました。今は鉄道が走っている九州の風景をテーマにした、「九州色」の写真作品に取り組んでいます。九芸には写真専門の先生が4人いますが、作風がドキュメンタリータッチだったり、アート系だったりとさまざま。また、技術からのアプローチや、評論を専門にする方などもいらっしゃいます。芸術分野の学びは、個々の感性を磨くことで、作品の完成度も大きく変わってきます。また九芸は、やる気さえあれば視野も広げやすいし、総合大学なので他の学科ともつながりやすく、友人たちからも作風のヒントを得やすい環境です。自分の引き出しをもっと広げるためにも、大学院への進学を決めました。博士課程では、「九州色」の作品完成度をさらに高めていく予定です。他にも、無事にコロナが落ち着けば、海外の鉄道写真にも挑戦したいです。
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「九州色」
秦 宇
古本研究室
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中国の伝統文化と写実を融合し試行錯誤から理想の表現を見つける九芸には学部からおよそ6年通っています。もともと中国にいた頃から日本のアニメやゲーム、伝統文化が好きで、昔から日本に行ってみたいという気持ちがありました。九芸はしっかり美術の勉強ができる大学です。入学前に来学した際、先生方も優しく設備などの環境も良いことから、この環境で勉強したいと思い入学しました。中国と日本では、絵画の授業方法も全く違います。ここでは自分の好きなものをテーマに描くことができるので、やりたいことをしっかり学ぶことができています。先生方には作品や論文についてよく質問をしますが、具体的な指導をしていただけるのでありがたいです。私は写実画をメインに描いており、今は中国の伝統文化と写実を融合させた作品を制作しています。油彩画で水墨画を表現するのはとても難しいですが、いろいろな素材や技法で試行錯誤を繰り返し、理想に近づいていっています。九芸は様々なことにチャレンジできる環境がある素晴らしい大学です。みなさんも理想へむかって頑張ってください。
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南宋之奇遇I
西田 忠信
百瀬研究室
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飛行機だけを撮り続けられる自由な環境が作品を極める実家近くに空港があったことが、飛行機に興味を持ったきっかけ。初めてカメラを買ってもらって飛行機写真を撮ったのが小学校6年生の時でした。その後、今の大学院に進むまで、ずっと「飛行機の写真」を撮ることだけにこだわっています。飛行機写真の魅力は、「狙っても撮れない」ところです。季節や天気、飛んでいるタイミングによっても全然違う一枚が撮れます。入学当初は、まわりからのリアクションも気にしていましたが、先生の「自由に撮っていいよ」のアドバイスをいただいてからは、「飛行機撮影」だけに専念してきました。4年生の時には、自分で企画して空港での展示会を実施。交渉のやり方まで先生からアドバイスを頂いて開催することができました。その時の手応えを胸に、これからも好きな写真を撮り続けます。いつか、雑誌や本で、自分の撮影した飛行機が大きく飛んでくれると嬉しいです。
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イカロスの夢
中原 未央
宇田川研究室 / 画家
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技法や知識を深め、追求することのできる場幼い頃から絵を描くことが好きで、将来は画家になりたいという夢を思い描いていました。好きな美術を学ぶことができ、さらに絵を描く環境も整っていることから九芸への進学を決めました。学部時代は、絵画の全国コンクールへの出品などに挑戦しました。そうしたいろんなチャレンジが大きなモチベーションになり、大学院では技法や知識をさらに深めるための研究や、作品の追求に力を入れることができました。同じ研究室では、いつも遅くまで制作をしている院生の仲間たちの姿がとても印象に残っています。作品を制作するうえで、環境や設備はもちろん大切。それ以上に、先生方から様々な角度で頂いたアドバイスや指導は、学生時代に自分を成長させてくれる大きな魅力のひとつだったと感じています。九芸は能力を伸ばすための環境に恵まれていて、学びに適した場だと思っています。それをどれだけ有効に活用できるかは、自身の努力にかかっています。限られた時間のなかですが、おおいに「やりたいこと」「すべきこと」の追求に励んでください。
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inside-T
「第6回青木繁記念大賞ビエンナーレ」大賞
岩下 翔太
百瀬研究室 / 報知新聞(契約カメラマン)
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スポーツカメラマンになるという夢を実現しました。高校まではまったく写真に関わることがなかったのですが、九芸に入って毎日楽しく勉強することができました。入学してみると暗室やスタジオがあって驚きました。デジタルが当たり前の世の中で、フィルムを使って撮影から現像まですることができたことは新鮮で楽しかったです。自分の想像していた以上にカメラの扱い方から構図の決め方といった基礎が勉強できました。 入学する時に写真の知識が ゼロでも、友達や先生に助けてもらいながら学ぶことができました。また、コンテストで審査をされるようなプロの先生方から意見を聞けることも九芸の特徴だと思います。 写真は目に見えない人間の一瞬の動きをカメラでおさえることができます。そこが最大の魅力です。おかげさまで大好きなソフトバンクホークスの側で仕事するという夢を叶えることができました。ミスが許されない仕事に就きます。 岩下に任せておけば大丈夫だと思われるようなカメラマンになりたいと思っています。
宮元 美希
梶原研究室 / 工芸広場 赤ぴーまん
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恵まれた環境で陶芸を深く学ぶことができました。高校で陶芸を始め、短大でも続けていました。奥が深い陶芸をもっと勉強したいと思い九芸に進学しました。まず、短大や高校の時には教員がいないと使えなかった窯を予約すれば自分で焚いて使うことができるということに驚きました。短大では陶芸の先生が 1 人で、その先生のやり方や代表的な表現方法をいくつか教えてもらいました。しかし染付や上絵付けといった細かい工程までは設備が予算的にも整っていなかったので行うことができませんでした。九芸では、材料を混ぜて釉薬を作ったりするなどトコトン作りたいものが作れる環境でした。 高校の時から陶芸を楽しいと思っていましたし、先生や親も陶芸を続けることを勧めてくれたのでひとまず短大に入学しました。短大を卒業して、そこで終わっていたら「その先どうしていたんだろう」と今となっては想像ができません。九芸に進学して陶芸を続けることができ本当によかったと思います。