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特集 アート脳の達人たち2024

  • ▼スーパークリエーター漫画家に憧れる

    小学生の頃、宇宙戦艦ヤマトの松本零士さんに強く憧れて漫画家になりたいと思っていました。漫画家ってスーパークリエーターだと思うんです。ストーリーを考えて、監督でありながら、タレントでもあり、カメラマンでもあり、ぜんぶ一人で完結している。中学卒業時、高校へは行かずに東京の松本さんの事務所に弟子入りしようと思ったんですが、父親からこっぴどく叱られてあきらめました(笑)。両親の意向もあり大学も地元で進学したんですけど、タウン誌で表紙の絵や漫画を描かせてもらったり、ホームランスタジオという会社で広告の仕事にもふれることができ充実していました。でも、親から反対されてくすぶっていた「東京へ行きたい!」という思いに火がついたんです。
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  • ▼商品開発から広告クリエイティブへ

    東京から会社案内を取り寄せた中で、新しい可能性を感じてサンリオに就職しました。サンリオではデザイナーも販売員としてショップに立つ経験をするんです。自分が関わった商品が、どう売れるのか?お客さんは、どんな気持ちで買っていくのか? を間近で感じられたり、とても勉強になった3年間でした。その後、大学時代に上京してお会いしていた奥脇さんというアートディレクターの事務所で、東京の第一線で活躍するクリエーターの方々とたくさん仕事をさせてもらいました。東京への思いは、ここで全うできたと思ったので、30歳頃、長崎へ帰ってホームベースという事務所をつくりました。地元の仕事を中心にやりながら、だんだん福岡からの仕事も増えてきて電通九州からお誘いが。最初は腰掛けのつもり(笑)でしたが、気づけば楽しすぎて25年も働いていました。
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    「八起」パッケージデザイン / 危険運転・飲酒運転抑止プロダクト「issho」

  • ▼人を幸せにするのがデザイン

    デザインは、誰かを幸せにするためにあるんだと思います。デザインに限らず「仕事」ってそういうものですよね。電通九州時代は、自分だけではできない社会への貢献をクライアントと一緒になって実現していきたいという思いが中心にありました。飲酒運転撲滅のための「TEAM ZERO FUKUOKA」や「シャボン玉せっけん」さんと一緒に取り組ませていただいた手洗いの普及など、ひとつひとつカタチにしてきました。 自分も含めて、世の中の意識が大きく変わったのが東日本大震災だと思います。「このままじゃヤバイな」ということにブレーキがかかり始めました。いろんな人たちの人生が変わったし、いろんなことを考え直すことになりました。僕も、もっと社会に寄り添う仕事をしなければと思っていました。そしてコロナ禍の始まりの中、九芸から声をかけていただいたのは運命的だと思います。
  • ▼問題の本質を見極めること

    僕たちはデザインの力で社会が抱えている色んな問題を解決していかなけらばならない。だけど、まず問題の本質をちゃんと感じ取らなくては。例えば「飲酒運転防止」のポスターを子どもたちに描かせると、だいたいお酒が怪物になってお父さんに襲いかかっているんです。飲んだこともない子どもが「お酒は悪者」と決めつけています。海洋プラスティックの問題も同じで、プラスティックが悪魔になったりする。お酒もプラスティックも人々を幸せにするために生まれたもの。本当に悪いのは飲酒運転をしたりゴミを捨てたりする人間なんですね。僕が九芸へ来て最初に取り組んだ車のダッシュボードに取り付けるフォトフレーム「issho」は、大切な家族の顔を見ることで問題の根本にある人の心の暴走の抑止力にしたいと考えたものです。
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    海洋プラアップサイクルプロダクト「mu」 / 杖立温泉新土産「恋のぼりラムネ」

  • ▼人間は生まれた時から社会人

    これからデザインを目指す人は「自分のためじゃなくて、誰かのために」という気持ちをしっかり持ってほしいです。美しいものをつくるだけでなく、美しく正しいものをつくることに心がけてください。 皆さんは「大学を卒業したら社会人」と思っているかもしれないけど、僕はおかしいと思うんです。人は生まれた時から社会の何らかの関わりを持っているので、赤ちゃんだって社会人なんです。だから、社会で起きていることは、ぜんぶ自分ごととして感じてほしい。色んな問題を見つけ、どうしたらデザインで解決できるかを考えてほしいです。