小さい頃から映画やビデオが大好きだったという森さんがCGと出会ったのは中学3年生の時。
森
NHKの番組で簡易的なパーツを組み合わせて動かすCGソフトが紹介されていたのですがそれに衝撃を受けました。すぐに本屋に行ってCGの本を買いました。難しくてよくわかりませんでしたが興奮したのは覚えています。CGを使えば何でもできて動かせるんだ!もしかしたら映画も作れるかもしれないぞ!それからCGにハマりました。高校は帰宅部でずっと作品を作っていました。授業中もキャラクターの構想を練っていました。当時理解者はいませんでしたね。森くんってパソコン以外友達いるの?って言われていたくらいですから(笑)
CGをもっと深く学びたい、と森さんは九州産業大学芸術学部写真学科映像メディアコースに入学する。
森
九芸に入学してかなりテンション上がりました。だって高スペックのパソコンや自分では買えない何十万もするソフトが普通にあるわけですから。同級生も映画やCG好きの仲間たちばっかりなので、高校の暗黒の時代と違って(笑)とても居心地がよかった。そこから僕の楽しい青春時代が始まったのです。1、2年生の頃は友達とカラオケ行ったり合コンしたり、キャンパスライフを思い切り謳歌しました。3年生になって作品作りに本腰を入れ始めました。新しい作品を作るたびにモーフィングなど新しい技術を試しました。何回も失敗しながらそれでもめげずに作り続けました。それでだんだん作りたいものに対してスキルが伴ってくるようになりました。
4年生になり、大手のCG制作プロダクション入社を目指していた森さんだがある時パタッと就活を止めてしまう。
森
大きなプロダクションで仕事をすることに疑問を持つようになりました。僕はエンジニアになりたいわけではない、発想をしたいんだ、と。いろいろ調べていたら新海誠さんをはじめ個人でアニメ作家として頑張っている人たちが日本で5人ほどいることを知りました。僕はその6人目になろうと決め、フリーランスになって作品を売り込んでいく道を選びました。
卒業後、森さんは研究生として九芸に残り作品作りを続けた。そしてついに転機が訪れる。
森
アニメ業界最大のイベント東京アニメフェアでブースを出すことができ、僕の作品が新海誠さんなどいろんなアニメ作家の作品をプロデュースしているコミックス・ウェーブ・フィルムの社長さんの目に止まったんです。それからあれよあれよという間にピーピング・ライフの発売が決まりました。
ピーピング・ライフはこれまでにDVDを14本発売、企業や放送局とコラボしてのプロモーションにも使用されるなど人気シリーズになった。また、昨年NHKのEテレで放送された子供向けのアニメ「ギガントシューターつかさ」も好評を博すなど森さんは一躍売れっ子のアニメーション監督となった。森さんは今後どんな仕事をしていきたいと思っているのだろう?
森
ピーピング・ライフはこれまでに300作品ほど作ってきましたが、サザエさんレベルまで続けたいと思っています(笑)子供向けのアニメもまた作りたいし、海外にも目を向けて活動したいと思っています。
そう目を輝かせて語ってくれた森さんに、九芸を目指す高校生にメッセージをもらった。
森
九芸は一言で言うと“楽しいよ”です。人脈だったりCGの技術だったり、僕は自分の体の半分は九芸でできていると思えるくらい九芸でいろんなものを得ました。皆さんも九芸ライフを楽しんでください。僕らの業界はいい子ちゃんは要らない。大馬鹿者でないとダメ。僕らの業界を揺るがすほどの大馬鹿者の出現を待っています。
脱力系CGアニメ『Peeping Life』(2008〜) © FOREST Hunting One / CoMix Wave Films