北条
幼い頃から、ずっと絵を描くことが大好きで、とにかく絵について学びたいという思いが強く、大学は実家のある北九州からも近い九州産業大学の芸術学部のデザイン学科を選びました。
九産大では、『描写実習』『平面構成』『立体構成』など、それまで知らなかった基礎的なことを学べる講義全てが、とても新鮮で楽しいものでした。思えば、生まれて初めて真面目に勉強と向き合った気がします。まあ、ひょっとすると、他人からは不真面目に思われていたのかもしれませんけどね(笑)。
何はともあれ、大学の講義で自分の絵のベースとなる技術や考え方などを身につけることができました。とはいえ、そこからまさか自分が漫画家になるとは、当時は思ってもいませんでした。
実は漫画自体は、高校時代にはすでに描き始めていて、大学でも各漫画賞への投稿などはしていたのですが、いろいろなところから漏れ聞く漫画家さんの仕事は非常に大変そうで(笑)。正直自分にはとても無理だと思っていて「趣味で描いているくらいがちょうどいいかな…」と、漠然と考えていました。ですが、在学中に投稿した作品が手塚賞に準入選したことがきっかけで担当編集者が付き、続く読切3編のなかの一本が週刊誌に掲載されることになりました。それが私の漫画家としての第一歩。図らずも大学生で漫画家デビューとなりました。
『エンジェル・ハート 2ndシーズン』©Tsukasa Hojo/NSP2010
かつて実際に九芸でデザインを学んだ先輩として、いま芸術の分野から夢をつかもうとしている学生たちへアドバイスをお願いします。
九産大で過ごした学生時代は、とにかく思いついたことや、やりたいと思ったことは、すべて実行していました。それは経験上、やりたかったことをくすぶったままやらずにいると本当に後悔するということを学んだからです。
九産大での4年間は、自分の意思で、自由にいろいろと試すことができる時期です。私も学科や研究室の違いを超えて、教授や准教授、講師の先生方と、いろいろなことをお話させていただきました。その環境はとても新鮮なもので、多感な学生時代に、分野にとらわれることなく視野を広げることができた一因だと感じています。さらに、生涯の友人と伴侶も得ることができました。
私から、これから大学生となるみなさんに一番伝えたいことは、まずはなんでもいい、やりたいことを見つけるということです。そして、それをとにかくやってみる。つきつめてみる。芸術やアートという分野においては、きっと、そんなパワーが必要なのではないかと思いますよ。4年間は思っているよりも短いものです。この時間を有意義に過ごすためにも、一瞬一瞬を全力で駆け抜けてください。