3日目 『より深く理解し、実践に生かす ―身体の痛み、トラウマ、そしてもっと―』 前夜 ワークショップ3日目の内容は、身体の痛みやトラウマといった難しい問題にフォーカシングを活用することだ。 今回のワークショップを依頼した際、アンさんが私に<何をして欲しい?>と尋ねてきた。 1日目は、フォーカシングがはじめての方々に合う内容で。 2日目は、研究会の人たちの要望で、心の宝探しを。 そこまではすぐ出てきたが、3日目の内容を決めかねた。 参加者の皆さんにとって興味を引くup to dateな領域は何なのか―。 そこへアンさんの方から、メールが来た。 <身体の痛みと、トラウマはどう?> 身体の痛みは、もろに私の研究テーマ。 トラウマは、前職が警察だった私にとって直近の関心領域だ。 2つ並べて見ると挑戦的で、アトラクティブなテーマに見えた。 私は驚愕して、「アンさんは、チャネリングもできるんですか。」とメールした。 アンさんからは、<あらやだ、共感って言ってよね>という返事が来た。 “共感” “すべての存在は、つながっている” 初日の一件があった以上、私にとってそれは不思議なことではない。 アンさんは、カリフォルニアと福岡の距離を超えて、 感知してきたのだろう。 身体の痛みへのフォーカシングといえば、アンさんは2007年のニューズレターに、 火傷に対するフォーカシングの体験談を載せておられる。 スタッフでアンさんを囲んで食事をしながら、そのことに話を振ると アンさんは、 i Padを操作して、(食事中ではあったが…(苦笑))、 その時の火傷の写真を見せてくれた。 腕に、こぶし大ほどの深刻そうな水ぶくれ。 <暗いところでやかんのお湯を沸かしていて、火傷したのよ。 30分ぐらい水で冷やして、もう夜だったからそのままベッドに入ったの。 その場所の感覚に身を沈めるようにして、どんなふうかを感じていったわ。強い感覚だったわね。 それが感じてほしがっているように感じて、しばらくして、 出てきた言葉は、 「ジジジジー」って音だったわ。 その言葉が見つかったら、すぐ寝てしまったのよ。 朝起きたら痛みはなくて、病院に行ったら「本当に痛くないんですか」って驚かれたわ。 全治1箇月だったけど、一切、痛くはなかったの。 痛みというのは、こちらに気づいてほしい何かを伝えているメッセージだから、 それがちゃんと聞き届けられると、 痛みが存在する必要はないから、消えるのよ。> …………。 ううむ。聞けば聞くほど…。 実は、このテーマに関しては、一抹の不安もあったのだ。 アンさんに聞いてみた。 「あのう…、今、おっしゃってくださったような身体とのかかわり、つまり、 こちらが本当にフォーカシング的な態度で居たら身体から痛みがなくなるという、そこまでのことは 日々身体との良い関係があって 身体がアンさんを信頼しているから、 起きたのであって、 相当な実践がないと、うまくいかないのではないでしょうか?」 アンさんは、即座に <Yes>と、深く頷かれた。 わお。 アンさん、明日いったいどうするつもりなの? アン・ワイザー・コーネル来日ワークショップ福岡2011年 3−(2)に続く |