本展は、《巴里 ルオー、ザッキン−ボヘミアンたちの街―》と《元倉真琴 集まって住む》という、二つのパートからなっています。二つを結ぶのは「つながり」というテーマです。
20世紀初頭のパリ市、セーヌ右岸のモンマルトル、左岸のモンパルナスには、フランスだけでなく世界各地から集まった、沢山の若い芸術家たちが暮らしていました。これらの界隈で、彼ら、彼女らは20世紀芸術の新たな地平を切り拓く創作を繰り広げます。孤独で貧しく無名な芸術家たちの営みをいつも支えたのは、「蜂の巣」や「洗濯船」といった集合アトリエ兼住宅、そしてモンマルトル、モンパルナスの街でした。《巴里 ルオー、ザッキン−ボヘミアンたちの街―》のパートでは、本学の所蔵品から、「洗濯船」にかつて住んだアンリ・マティス(1968-1954)や藤田嗣治(1886-1968)の版画、「蜂の巣」に住んでいたオシップ・ザッキン(1888-1967)の連作版画、モンパルナスに長年暮したアルベルト・ジャコメッティ(1901-1966)のドローイング、そして同時代のパリで活躍したジョルジュ・ルオー(1871-1958)の連作版画、及びルオーのよき理解者だった高田博厚(1900-1987)の彫刻作品などを紹介します。
本展後半、《元倉真琴 集まって住む》のパートでは、空間・建築・都市など広範なフィールドにわたった建築家・元倉真琴(1946-2017)の業績をたどります。彼は、そこに暮らす人々の日常を観察、丹念なリサーチに基づいて、戸建ての住宅、集合住宅や都市建築など、数多くのプロジェクトを手がけました。元倉はつねに、人々のありかた=「集まって住む」ことをめぐる根本的な問いをもって、制作を続けました。このパートでは、元倉のダイナミックな思考の軌跡を、手書きの図面や日常を描いた様々なスケッチなどをまじえ、浮き彫りにしていきます。
○会 期 2025年4⽉1⽇(火) 〜 2025年5⽉25⽇(⽇)
(毎月曜日、4月29日(火)、5月3日(土)〜6日(火)は休館

R7所蔵品+展
「巴里、ルオー、ザッキン」+「元倉眞琴 集まって住む」 (ポスター画像の無断転載はご遠慮ください。)