森川研究室ホームページ
心理学
1 紹介

 2004年度は、経営学部の心理学を教えます。
 2003年度とは教科書を変えました。以前の教科書(「人間関係の心理学」斉藤勇著)も、良かったのですけれど(データを載せたコラムがあり、客観的で良い教科書だと今でも思っておりますが)、教科書を買ってない人がけっこういたようです。
 教科書を使う教員、教科書を使わない教員、いろいろ居て、教科書を買わせる理由も教員によってさまざまだと思いますが、私の場合は、大学で心理学を履修したなら心理学の教科書ぐらい本棚に持っていてほしいという理由です。理想を言えば大学を出ても5年や10年は本棚に、背表紙が見える状態にして置いておいてほしいです。心理学の場合、今後の社会生活や家庭生活を経て心理学の背表紙を見ると、「そういえば、ああいう話しがあったなあ」と思い返したり、読み直すと、「ああ、これはこういう事なのか」と参考になる部分があるのでは思うので。
 で、新しい教科書にしました。サイエンス社の「心理学」です。昨年度の厚い教科書と違って、コンパクトで、持ち運びやすいかと思います。値段も安くなりました。
 授業内容もそれに伴って変えます。
 評価は試験と出席により行います。

 シラバスはこちら
 
 教室は、中央会館52番教室に変更になっています。




2 試験
 
 授業内容を若干昨年と変えますので、昨年の試験情報はあまり参考にならないと思います。昨年度の試験は、「暗記していなくても、どこに何が書いてあるかがわかっていれば生活に事足りる。」という私自身の考えに基づき、資料持込式で、50問解いていただきました。100点の人も何人かいました。なるべく客観的をと心がけ、ある程度それが達成できたとは思いますが、持ち込み式ということで安心してしまい、勉強をせず、落ちる人が目立ちました。また、スピードが要求されるため、留学生の方々は合格することが難しかったようです。
 よって、試験は持ち込み不可にして問題数を減らすことを考えています。




















2004年12月28日(火)
第12回

12月22日最後の回は、「ストレスマネジメント」の続きをいたしました。対人関係のストレスがなるべくたまらないようにということで、「アサーション」を取り上げました。4コマ漫画を見ながら、自分だったらどんな自己表現をするかな。アサーティブな表現にするとしたらどういう言い方をするだろうか、と考えてみていただければと思います。それができたら、試験のこの単元の部分は大丈夫です。

みなさんの感想の中で、「自分は、大事な人に対しては、なるべく相手のしたいようにする。でもここだけは譲れないということは言う。こういうのも自分なりのアサーションと考えていいですか?」というご質問をいただきました。そうだと思います。
自分が「これでいい」と心の底から思える表現がその時々でできて、「ここでは言いたい」「ここでは自分を抑えておきたい」という気持ちにしたがって、表現を選べるようであれば、それはとてもよいと思います。
でももし、「自分は黙っていよう」「これでいいんだ」と自分に言い聞かせていて、心の底では無理があるとしたら、それはよくないと思います。自分にストレスがたまる、ノンアサーティブな自己表現の仕方だと言えます。

私は学校を卒業したあとで、再びブラスバンドに入りたいと思いました。新しくバンドができる区の、区民センターのドアの前まで行きましたが、ドアの中に入る勇気がありませんでした。私の楽器は、バンドに二人以上でも、やれないことはありませんが、音量的に、一人しか要らないのです。それで「もし先に誰かがいたら、その人は、私を笑顔で迎えてくれるだろうけど、内心嫌かもな」と思ったのです。要は考えすぎですね。
ドアの外に張り付いて、自己紹介の声を聞き取ろうとしていた私の姿は、さぞ奇妙だったことでしょう。
あのときドアをあけていれば、今も楽器を続けていたかもしれません。仮にもし先に人がいたとしても、「皆さんは、私も入ればいいといってくださるかもしれないけれど、私は、もう少し他のところも見て決めたいと思います」と言って風のように、退出すればいいことでした。今思うとですね。

皆さんには、そんなふうに人生に後悔をのこすようなことがないように、なるべくアサーティブに生きていっていただけたらと‥。「恥ずかしい」「言いにくい」と思う場面でも、もう少しよく考えると、アサーティブにふるまえるものではないかと思います。


試験は持ち込み不可です。問題は25問、全4点ずつです。時間配分に気をつけて解けるものから、がんばってください。

2004年12月28日(火)
第11回

12月20日の第11回は、「ストレスマネジメント」ということで授業しました。
「ストレッサー」という言葉について復習しておいていただければと思います。授業中に、「良いストレス、悪いストレス」というお話しをいたしました。ストレスという言葉からは、悪い印象しかないので、「
「良いストレス」ということが感覚的に、分かりにくいと思われた方がいらっしゃいました。良いストレスとは、「適度なストレス」というふうに読み替えていただければ、分かり易いかもしれません。私たちが1週間、学校に来て、土日を休みます。月から金まである程度のストレスがかかるけど、それがあるから、土日にほっとして嬉しいですね。毎日が日曜日だったらどうでしょうか。
しかし、ある人にとっては、月から金までの仕事や学業が忙しすぎて、土日になってもちっとも休んだ気がしないかもしれません。ボールがへこんだまま、毎日を過ごして1ヶ月、2ヶ月と経ったら‥‥。
良いストレス(適度なストレス)とは、私たちに張り合いを持たせてくれる程度のちょうどよい刺激、ということです。
さらに、どうせストレッサーがあるならば、どんなふうにそれを受け止めていくか。認知によってストレスのダメージの程度が違ってくる、という話をいたしました。スポーツ心理学から、目標、ストレスを持ちながらどうやっていくか、というところです。
あなたの夢(結果目標)は何ですか。そのための、今の行動目標は何ですか。

2004年12月22日(水)
第10回

12月13日の第10回は、「説得」を取り上げました。詳しくは後日書きますが、4つのテクニカルな説得法を用いて、1万円借りるというセリフを考えることができたら、説得に関する試験の問題はとけるかと思います。例えばフットインザドアテクニックを使って一万円借りるとしたら?。あるいは、ドアインザフェーステクニックを使って一万円借りるとしたら?
えげつない例題ですが、お金の話が一番分かり易いのでですね。

2004年12月13日(月)
第9回

第9回は、前半は「性格U」の残りを行いました。心理テストを作る場合、「信頼性」「妥当性」といったことに気をつけながら作成する、というあたりの意味を覚えていていただけたらと思います。やや難しかったかもしれませんね。
そして主には「対人魅力」について勉強いたしました。「見る回数が多いほうが好きになるという結果に驚いた」「価値観が似ている人を好きになるのはどうかと思うけれど、実際そうだ」‥その他、自分なりの「好きな人の性格ベスト3」など、感想もいろいろで、楽しく読みました。
次回は「説得」をとりあげます。

2004年12月13日(月)
第8回

なかなか、忙しくて更新が滞っておりますが、第8回は「性格U 性格のとらえ方」ということで、心理テストのつくり方などについて勉強いたしました。テストの作り方を勉強したのは、皆さんにテストを作ってもらってそれを提出してもらうといった、課題にするわけではありません。ただ単に、心理テストを難しいものと考えずに作りたいと思ったら自分で作っていいんですということをお伝えしたかったのと、作り方(裏側)が分かれば、テストの限界や良し悪しも分かるだろうということから、とりあげました。
何事にも完璧はないのです。心理テストも完璧なものはありません。実際、心理テストをやって結果を読んだときに、「そうかもなあ、確かに」と思うこともあれば、「そうかなあ、、」と合わなさを感じたりしますよね。その、テストをやって結果を読んだあとで自分の中に出てくる感想から、「自分の自分に対するコメント」がまとまってきますね。それが心理テストのいいところだと、私は思います。
本格的な心理テストを体験していただこうと、150問もある市販のテストを行いました。たいへんだったでしょうが、あれはなかなか、詳しく、分かり易い結果が出るテストではないかと思います。結果に良し悪しはありません。「外向的、内向的」といった尺度一つとっても、内向的であることがよくないことのように感じる人が多いように思われますけれど、その性質の良い面が発揮されればとても魅力的な人ということになると思います。
授業のポイントとしては、性格のとらえ方には、「類型論的なとらえ方」「特性論的なとらえ方」がある、といったあたりを覚えておいていただければと思います。地図の「メルカトル図法とモルワイデ図法」みたいに、一長一短があります。

2004年11月29日(月)
第7回

 11月22日の授業も、「性格T 性格の形成」という単元で、しかも、少し、残ってしまいました(汗笑)。最後のほうの単元は、駆け足になりそうです。
 復習しますと、教科書に載っているケーガンさんという人の研究によると、生後21ヶ月ごろの「気質(この場合、抑制的であるかどうか)」と、7歳半ごろに再び測定した「気質」とを比べると、4分の3が同じ気質のタイプに属したということです。このように、人の性質には、「気質」という、産まれてからあまり変わらない部分があるのではないか、と言われています。しかし、皆さんも感じておられるように、家庭や学校での立場、本人の気持ちの持ち方で変わっていく面もありますよね。
今日はエゴグラムという性格テストをしてみました。「あたっている」「面白かった」という人が多かったですが、「あたってなかった」「結果が分かりにくかった」という人もおられました。
分かりにくかった理由の一つには、プリントでお配りした結果の分量が少ないからだと思います。図書館に本が入っていますので、興味をもたれた方はぜひ、もっと詳しい、性格の説明を読んでみられてはと思います。
分かりにくかった理由のもう一つは、これが、折れ線グラフで結果がでまして、「何々タイプ」といったはっきりしたタイプ分けがなされない形の性格テストだからです。このへんについて、第8回の授業でやっていきたいと思います。

2004年11月19日(金)
第6回

今回から「性格T 性格の形成」という単元に入りました。性格形成がどのようになされるか、といったことについてです。生得的な要因、環境的な要因・自分の意志の要因と、いろいろありますから、どれが一番影響があるといった結論はでませんけれど、諸研究をもとに、「だいたい、こういうふうにそれぞれの要因が影響を及ぼし合うんだな」といった感じを、とらえていただけるのではないかと思います。「輻輳説」といった言葉の意味を、復習しておいてください。
 性格テストをやりましたが、「当たってた」という感想が多かったです。
 今日の性格テストの際に、「左手と右手それぞれ、自分の名前を書いてみてください」と言いましたが、皆さん、利き手では字を書きやすいけれど、利き手と反対の手では字がとても書きにくいという体験をされたと思います。幼い頃は、利き手というのが今ほどはっきり決まってなくて、右手でも左手でもお絵かきなどをしていたはずです。ほんの少し右手が利いていてずっと右手を使っているうちに右利きになった、とか、ほんの少し左手が利いていたけれど周りの人に右に鉛筆を持たされているうちに右利きになった、ということがあると思います。性格もそれと一緒です。今のところ外向的な人にも内向的な面の楽しみ方があり、内向的な人にも外向的な面を持っているはずです。どちらか一方を使っているうちに、慣れ親しんだやり方というのが出来上がった、それが今の表向きの性格、ということです。しかし、自分に慣れ親しんでいるのと違う面は、自分の性格の中の影になっていて、日頃は使わないけれど、ちゃんと、自分の中に潜在的に持っている。それがユンクの考え方です。その説明のために、左手、右手を使って字を書いてもらいました。
 ちなみに性格テストが当たっている感じがしたのは、そのテストの質問項目が、テストがとらえようとしていることに合致していた、つまりテストの妥当性が高かった(=ちゃんとしたテストだった)ということを意味します。しかしそれだけでなく、皆さんが、ちゃんと自分で自分をとらえて、正直に、テストをつけられたから、ということも意味します。

 今回は、タイプ分けするようなテストでしたから、「点数的に、二つのタイプの中間になってしまった」という感想‥質問の方が、何名もおられました。これは、これは、こういう形式のテストの限界なのです。心理テストの作り方について、次の「性格U」の単元で行います。ただ、私の授業の進め方がのんびりしているので、次回までは、「性格T」の話を、続けることになりそうです。

2004年11月8日(月)
第5回

11月8日の第5回は、「発達」の続きをしました。
エリクソンの発達段階を、1時限まるまるかけて、勉強しました。
人生のそれぞれの時期の葛藤、課題。けっこう、エリクソンの理論は「そうだよなあ」と思ったり、人生を考えて連想が沸いたりする内容ではないかと思います。
「悔いのないように生きたいと思った」という感想を書いてくださった方が多かったです。

実は、ずっと、何人かの方に質問いただいて、お答えしそびれている質問があります。
トラウマの治し方、うつの場合どうしたらいいかといったご質問です。
治療法がありますので、カウンセリングor治療を。
ということに毎回、触れようと思っているのですが、今回も気がついたら授業時間が終わってました。
次回は必ず。

次回は「性格」です。まず最初は導入ということで、性格における遺伝、環境の作用について諸研究を見ていくことになるかと思います。

2004年11月4日(木)
第4回

10月25日の第4回は、「発達」をいたしました。「刷り込み」といった臨界期の話が出てきました。どの教科書も、ヒトの臨界期について、はっきりとは書いていません。しかし、動物の臨界期についてこれだけ話すならば、ヒトの臨界期について知りたくなるのが人情ではないでしょうか。そう思いまして、視覚や音楽や語学など、いろいろな領域におけるヒトの臨界期について、「まあ、どうも、このような時期なら学習しやすいようだ」と言われていることについて、お話しました。すると皆さんの感想には、「音痴はもう治らないのでしょうか」「今頃になって英語を勉強しても遅いってことですね〜」という反応が。^^;まあ、ヒトの臨界期は、動物ほどはっきりしたものではないので、「その期間を過ぎると習得できない」ってわけではないですから。
つづいて、幼い子どもと養育者との相互作用を撮ったビデオをみました。いろいろな子どもが出てきましたが、表情豊かでしたよね。ビデオの中で子どもがいろいろなサイン(サインのことを、ビデオではCUEと言っていました)を出していたのを、皆さんはよく観察していただいたと思います。
「マザリング」「母性剥奪」などのタームが出てきましたので、意識して覚えていていただけたらと思います。
一点、確認ですが、「マザリング」は、養育者から子どもへの愛着行動ですよ。子どもから養育者への愛着行動は、単に「愛着行動」と言いまして、マザリングとは言いません。
あと、マザリングというと母親がすることのように聞こえますけれど、母性は男性にも女性にもありますから、男性が子どもに対して行う愛着的・養育的行動も「マザリング」と言うのです。このことをちゃんと聴いておられて、「男性にも母性があるということがわかった」という感想に書いてくださった方がけっこうありました。
しかし一方で、「マザリングの意味はよく分かるけど、この言葉はどうしても女性限定という意味を感じる。あと、(ビデオに出てきた)養育者がすべて女性だったのも疑問に思った」という感想もいただきました。至極もっともだと思います。これらのタームが作られた時代には、養育者は母親という図式、母親が居なければ子どもが育たないといった観念が、今よりも色濃くあったと思います。
この間、保育園に仕事が
あって行きましたら、保母さんが「3歳ぐらいになって入園してくる子で、親との関係がよく育ってない子は、へんなふうに育っていて、対人関係がうまくできなくて難しい。修復が難しいです。入園させるなら0歳児から入れてほしい。そしたら抱っこして抱っこして、ちゃーんと育てますから。」と言っていたのが印象的でした。
もし皆さんが子育てする時に忙しいとか、子どもが苦手だということが出てきた場合、親がなにがなんでも頑張らなければと思うよりも、保育園に預けるなど、子育てをうまく人に受け持ってもらうのも方法で。誰が育てるか、よりも、どのように育てるか、がより大事だということだろうと思います。

質問の中では、発達の中で性格がどのように作られるのかという質問が多いです。次回の単元で取り上げます。

どういうわけか、「時期がきたらもとの教室に戻る」という噂があるらしいですが、少なくとも、今のところ、そういう計画はありません。ずっと52番教室でやっていく予定です。噂というものは、不思議なものです。

2004年10月20日(水)
第3回

10月18日の授業は、まず「学習」のつづきをしました。古典的条件付けとオペラント条件付けの違いについて、理解していただけていれば、と思います。オペラント条件付けや観察学習について、日常の中のそれにあてはまることを思い出して感想に書いてくださった方々が多く、読んでいて、なるほどなあと思ったりしました。
この分野は大学の他の科目でも勉強したことがあるという人がおられるのですね。
そして「発達」に入りました。動物の臨界期のところまで行きましたが、次回は人間の発達です。
今回書いていただいた感想の中には、口答で答えるのが難しいような複雑な質問はなかったので、ホームページ上での返答は今回無いです。
教室は今後も、52番教室で行います。

2004年10月4日(月)
第2回

今回は「学習」でした。
「自分も条件付けられているところがある」「うちの犬もそうだ」‥と、日常生活のなかにこのような現象があることに、皆さんよく気づきながら、聞いていただいたようです。
「子育てに使えそうだ」「良いほうにも、悪いほうにも使える。怖くもある」‥その通りだと思います。
今日は、いろいろな用語が出てきました。条件刺激、無条件刺激、条件反応、無条件反応。強化、般化、消去、弁別。それぞれ、覚えていていただければと思います。赤字、黄字が多かったです。ポイントがはっきりして一番勉強しやすい単元かもしれません。

「強化の定義が難しかった」「消去、弁別などもう一度教えてほしい」といった復習の要望がありましたが、今回、それぞれの方のご要望が異なっていてお答えしていたら授業をほとんど繰り返すことになりそうです。もしよかったら、聴きにきてください。

プリントが後ろのほうまで回らなかった、という意見がありました。今日の授業は、プリント無しで理解するのはつらかったでしょう。プリントは、目分量で前の人に渡します。一番前の席にあまりを置いていますから、足りないときはとりにきてください。(と、授業中にアナウンスしたつもりなんですがー。)毎回そのようにしますので、慣れてください。
ビデオが作動しなくて時間ロスしました(これからビデオデッキ「NO.2」は持っていかないことにします!)。広い教室で、後ろに回ってみるとビデオは見えなくはなかったですが、かなり見にくいようでしたね。1回教室を替えてもらったので、可能かどうか分かりませんが、教室変更を申請します。申請の結果、中央会館しか開いておりませんでした。52番教室です。広々しています。教室移動の時間を見越して10月18日のみ、10分遅らせて16:20から授業を開始します。

次回、口答でお答えすると分かりにくくなると思われる質問にここでお答えします。一番目のご質問は、「強化の定義」についてもかかわることですから他の方の参考になるかもしれません。

Q:条件付けで般化が起きた後に消去をすることも、強化と同じことになるのでは?
A:復習しますと「強化」は、条件付けを定着させるために、無条件刺激(例えばえさ)と、条件刺激(メトロノームの音)とを一緒に提示することをいいます。
消去とは、無条件刺激と条件刺激を対提示することをやめたら、条件反応が起らなくなるという手続き及び現象のことを言います。
消去した(無条件刺激と条件刺激を対提示することをやめた)ら、消去が起った(条件反応が起らなくなった)、みたいな言葉の使い方ですね。

ご質問の方は、「消去」も意図的に行うと強化みたいなものでは、と、消去と強化に同じニュアンスを感じ取られたのではないかと思います。確かにそういうニュアンスの場合もありますからね。
「消去」は、意図的に消去させようとしてする場合もあるし、自然とやめてたら反応が出なくなった、みたいな消去もあります。
「消去」は、何もしないことによって、結果として反応が起らなくなること
「強化」は、特定の反応を起こさせたりやめさせるために積極的にかかわることです。

たとえば、一旦、ネズミが5回スポイドを吸ったら甘い水が出る、というように強化します。
ここで、「消去しよう」と思えば、ネズミが何回吸おうが甘い水を出さない、ということにすると、ネズミはスポイドを見てもすおうとしなくなりますね。消去できたわけです。
ここで、消去ではなくて「今までとは逆の方向に強化しよう」(つまり「ネズミがスポイドを吸わないようにさせよう」)と思えば、ネズミに甘い水を飲ませたあと、いやな水を飲ませる、という積極的な手続きを用いて、スポイドを吸わないようにさせるのです。
これが消去と強化の違いです。ニュアンスが分かるかな?

Q:行動心理学はこのような反応などに関することですか?人間の心理に関するものは何心理学にあたりますか?
A:そのとおりです。今日勉強したあたりは、刺激→反応→結果、ということですべてをシンプルに説明しようとした心理学の流派です。そこに意図や意志や性格は入っていませんね。そのことをお感じになったのだと思います。これが行動主義の特徴なのです。ですから、別の単元ではこの方のおっしゃる「心理」を感じるかもしれません。

Q:倫理学、哲学、心理学の違いを知りたいです。
A:うーん(汗)。哲学と心理学の違いは前回やりましたが、倫理学は私も深ーくは知りません。しかし思うに、倫理学には(哲学もですが)「実証(データで証明すること)」は無いのではないでしょうか?あと、心理学は、実証をしていこうという学問であるために、出てくる説が倫理学や哲学に比べてかなりシンプルだという特徴があります。疑問をシンプルな形にして、それを実験や調査で明らかにしようとするのです。「そんなこと知って何になるの?」ということもあるのですが、一つ一つ実証するのが心理学です。
世の中には「感覚的にはわかってるけど、証明するデータが欲しい」ということがあります。例えば、心理学の当初、ドイツにエビングハウスという人がいました。彼は記憶の研究をしていたのです。その彼のところに、学校の先生たちが研究の依頼に来ました。「ぶっ続けで授業したら児童は疲れるのではないか、と思うのですが、それを証明してくれませんか」というのです。当時、ドイツの学校は朝からお昼ごはんの時間まで、小学生1年生でも、一切休憩がなかったのです。すごいですね。それがドイツの伝統でしたから、学校の先生の感覚だけでは、伝統を変えられないのです。エビングハウスは調査を行って、適度な休憩が記憶力を増すことを証明しました。それでドイツの学校にも休憩ができたのです。
データがないと、説得力がない。説得力がないと世の中の伝統を変えるのは難しい。だから時には、シンプルなことでも研究対象にする必要があるのです。


Q:心理学の授業は、いろいろな領域を紹介していく形ですか?
A:そうなります。。なんせいろいろな分野があります。外科から精神科まで、というかんじです。広く(というほど広くは無いですが)やります将来にわたって興味がもてそうな分野を見つけてほしいと思います。

2004年9月27日(月)
第一回

のっけから、教室がS403に変更になりました
前年の同じ学科(経営学部産業経営学科)の心理学の受講者がそれほど多くなかったので、普通サイズのS301教室になっていたものと思われます。
前の年は、時間割の関係で受講しにくかったのかな?

あと、のっけからプリントに大きな間違いがありました
シラバス
11月9日から11月30日は、火曜日の日付を書いてましたね。
11月8日(月)、15日、22日、29日の間違いです。
最後の授業は12月23日と書いていましたが、12月22日(水)の間違いです。
すみません。指摘してくださった方、ありがとうございます。

今日は、初めての授業ということで、心理学の歴史についてやりました。
復習のポイントは、
心理学は理論を作るだけでなく、何をするものなのか。
最初に心理学の実験室を作ったのはドイツの誰で、彼の心理学は何主義と言われているか。
といったところでしょう。

錯視の見え方が分からなかったという質問がありましたが、説明が分かりにくいところがあったんでしょうね。錯視ばっかりは、どの方にどう説明したらいいか。一対一のほうが分かり易いので、、来週よかったら教卓のあたりに聞きにきてください。

性格や性格テストに興味があるという方が比較的多いようです。その他発達、行動、ストレスマネジメントなど、興味のある単元はそれぞれでした。
心理学はなかなか、範囲が広いというか、
医学で言えば外科から精神科までちょっとずつ勉強する、ようなものなので。
感じが違う単元が並びますので、その方その方によって、興味がある単元とない単元とがあるだろうなと思います。
性格テストは、性格の単元のときにやります。


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