精神保健学B
1 紹介

 
臨床心理学科2年生以上の選択科目です。
 人が生きていく上で出会ういろいろな心の状態(いわゆるうつ病、神経症、統合失調症など)について、授業をしようと思っています。
 学期末のテストはそれを中心に出します。また、それとは関係なく、「自分でできるタイプの心理療法」について、毎回の最後に、取り上げてみたいと思います。



2 評価
 
 試験、およびレポートにより評定いたします。

 また、多少、出席を加味します。
 レポートは、授業で紹介した体験ワークから2つを選び各1000字程度のレポート。
1月29日(金)18:20までに、授業前後に森川に手渡すか、森川研究室のドアの下から投げ入れてください。

 注意していただきたいのは、授業で紹介した体験ワークについて、
自分一人で行った感想を書いてください。もし字数が余ったら、その療法についての説明を、自分で調べて書いたり、授業中に行った体験について、体験メモを見ながら書いてもいいですが、自分一人で行った感想は、必ず書いておいてください。 (体験してみることに意味があるのでうまく行かなかったという感想でもOK)

























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2009年12月15日(火)
第12回

気分障害の2回目です。うつ病の症状について、具体的にどういうものなのかを、勉強しました。「3つのチェックポイント」を覚えていていただけたらと思います。
うつ病の症状を理解していただくために、チェックリストをしましたが、点の高い人が少なくなかったようです。

体験ワークは、認知行動療法から「メリット・デメリット分析」でした。その考え方(否定的な思い込み)を持っていることのデメリットを思いつくのが難しかった、という方が少なくありませんでしたが、こういう考え方自体は役に立ちそうだ、ゆっくりやってみたいという感想が多かった気がします。

2009年12月8日(火)
第11回
少し、依存症の残りをやって、それから気分障害という新しい単元に入りました。今回は最初ですから、気分障害にはどういうものがあるかを概説したあと、うつ病の話に入りました。来週、症状の詳しい話に入ります。
体験ワークは、認知行動療法の「合理的思考のためのワークシート」をやってもらいました。落ち込んだり嫌な気分になった出来事を記入し、自分の思考と、それとは別の合理的な思考を見出してもらうものです。
「これからはネガティブなところに留まるのではなくて、こういうふうに考えてみたい」といった感想が多かったです。「合理的思考を考えるのが難しかった」という感想もいただきまして、もっともな懸念だと思います。自分で考えられたら苦労はありません。カウンセリングでは、そこの答えを一緒に考えていくことになります
。一方で、「合理的思考を考えるのは楽しかった」という感想もあり、嬉しく思いました。
2009年12月1日(火)
第10回
依存症の2回目です。
家族など、周囲に依存症の人がいた場合の対応を中心に勉強しました。依存を継続するはたらきをしてしまう(enable)ことをイネイブリングと呼びます。
「ちょっとした(対応の)違いで、イネイブリングになってしまう」「家族のために良かれと思った対応が仇になることもあるのだな」といった感想をいただきましたが、そのあたりは確かに難しいもので、家族も治療の協力者として重要な位置づけになります。。
イネイブリングしない、冷静で、揺ぎ無い、根底に相手への思いがあるという態度。それがどのようなものか。折に触れ考えて、見つけ出していただければと思います。

今日見ていただいたビデオは、以下のとおりです。
参考:助けを求めない人をどう援助するか 第2巻 
企画・構成 特定非営利活動法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会) アスク・ヒューマン・ケア
制作 ジエムコ出版


体験ワークは、認知行動療法に入り「日常活動記録表」をやってもらいました。一日の出来事を書き込む表がありまして、どういう活動をしているときに、気分がよくて、どの行動だと気分がよくなかったか、というのを観察するためのシートです。依存症やうつといった状態があるときに、何か少しでもいい気分になれるものを発見するために、重要になってくる作業です。
2009年11月24日(火)
第9回

依存症の単元に入りました。アルコール依存を特に取り上げて勉強しますが、薬物、ギャンブル、買い物、人間関係など、依存の対象はいろいろあります。皆さんの感想は、ただの依存と、依存症の違い、見極めのつきにくさ、に集中していたように思います。「それ無しではやっていけない、それをやっていないと苦しい」、というほどになると依存、と考えてよいでしょう。
体験ワークは「好きなことについてのフォーカシング」でした。自分の好きなことについて思い浮かべ、それが自分にとってどんないい感じをもたらしてくれているのかゆっくり感じてみようというフォーカシングです。今までやってきたフォーカシングよりやりやすかったという感想が多かったです。これをやり慣れていると、嫌なことが続いているときや、気晴らしをする十分な時間が無いときでも、ふと、いい感じを思い出して自分のエネルギーにすることができます。好きな行動、好きな場所、好きな人などをテーマに、いろいろ試してみるといいと思います。

2009年11月17日(火)
第8回

心身症の5回目です。摂食障害になっていく心理的メカニズムと、治療について、勉強しました。
体験ワークは、フォーカシングの3回目で、「クリアリング・ア・スペース」をやってみました。気がかりなことを身体の外に置くことをイメージするというものです。

皆さんの感想では、「味わうところまではできたが、置くことができなかった」「おき場所がぴったりな感じがしなかった」という方が大半でした。一限で、寒くて…という要因もあったようです。つい、熱を入れて説明しすぎて、
実施時間が8分ほどでしたので、時間の関係もあって置けないまま終わった方が多かったかな…と思います。
本来は、リスナー(カウンセラー役)つきで行うことに向いているワークです。今回のような集団法では難しかった方も、もう少し時間があれば、あるいは、リスナーつきで行えば、だいぶ違ったと思います。
自分でやってみられるときは、電車やバスの中などのほうが、やりやすいと思います(なぜかは分かりませんが、調査結果はそうなっているんです。)

あるいは、今日は一つのことを丁寧に置くということをやってみましたが、そうではなくて、「やるべきこと・気になることをリストとして書き出して眺める」というのも一種のクリアリング・ア・スペースです。そっちの方が向いているという方も、おられるでしょうね。

2009年11月10日(火)
第7回

心身症の4回目です。代表的な心身症ということで、自律神経失調症や摂食障害について、勉強しました。摂食障害は非常に身近な問題なので、質問も多く寄せられました。、特に拒食にはまるのかが分かった、という声が多かったです。
なんか、授業のスピードがゆっくりしているのか、過食のところが残ってしまいました。次週やります。

体験ワークは、「フォーカシング」の2回目で、「描画フォーカシング」をやってみました。色をつかって今の気分を表現していきます。「楽しかった」という感想が比較的多かったです。色にすることで、自分の心にこういう感じのものがあるんだな。いろいろな色合いのものがあって、いいんだな。と、今の自分の気分を受容しやすくなるという利点が、描画にはあります。
今日は、「今の気分」というテーマで書いてもらいましたが、ぴんと来なかった方は、何か心に具体的な気がかりがあるときに、そのテーマにしぼって、描いてみると、「描いて、置く」という感じが、体験できるかもしれません。

2009年10月27日(火)
第6回

心身症の3回目です。どのような人が心身症になりやすいのか。ということで、タイプA、タイプCと呼ばれる心身症性格の質問紙をしてもらいました。
そのあと、心身症の治療のポイントを勉強しました。
代表的な心身症ということで、自律神経失調症について勉強しました。不定愁訴、といった言葉を覚えていていただければと思います。
次回は摂食障害です。

体験ワークは、「フォーカシング」に入りました。どんどんリラックスする自己催眠系のワークよりは、ちょっと、覚醒水準が高く、感じつつ言葉を選び、感じに照らし合わせて言葉がぴったりかどうか確かめる…、といったように、作業が複雑になります。
フォーカシングは、たくさんのバリエーションがありますが、今回は、心身症の授業でがんになる性格とか言って怖がらせたかもしれないので、からだ(体調)にまつわるフォーカシングをしてみました。それが皆さんにとってどうだったかなということで、アンケートを取らせていただきましたが、ちょっと難しかったかもなと思っています。次回は、もちょっと取り組みやすい、「描画フォーカシング」を計画しています。

2009年10月20日(火)
第5回

心身症の授業の2回目です。
今日は主に、なぜ心の負担が原因で身体の調子まで悪くなるのかという、メカニズムについて話しました。自律神経には、身体活動の活性化をつかさどる交感神経と、リラックスをつかさどる副交感神経とがあり、この両者がバランスよく、アクセルとブレーキのように交互に働いているといいのですが、交感神経が優位な状態が続きすぎると、疲弊して、心身症になりやすくなります。

体験ワークは「ひとりでできるヒプノセラピー」という本をもとに、リラクゼーションを行いました。この本はCDつきで、図書館にあります。
本では、左足、右足というふうに、片足ずつリラックスしていくことになっているですが、両足同時にやったほうがやりやすいという人が、少なくないように思われますので、お配りしたプリントは、両足、両手を同時にやる、簡略化バージョンです。それでも8分かけてゆっくりリラクゼーションしましたから、「いつものよりリラックスできた」「頭のてっぺんの力が抜けた」という感想から、「ゆっくり部分部分をリラックスさせていくのは、性に合わなかった」「リラックスを突き抜けて睡眠状態に突入した」という感想までありました(笑)。
家でやるときは、宙で教示の順番を覚えることはできないでしょうから、「足先から順にリラックスしていく」と考えて、適当にやられるといいと思います。

2009年10月13日(火)
第4回

強迫性障害の治療について、ざっとお話しました。強迫観念があってもいいと受け容れる、強迫行為をするのを、できるだけ先延ばしに、できたらする。ということで、強迫観念に悩ませる程度が減っていく、というお話をいたしました。
神経症は、他にもいろいろあり、授業では詳しくできませんでしたが、転換性障害(ヒステリー)、離人症のことをざっとお話しましたら、やはり離人症は、経験がある方が少なくなかったです。
身近なものですね。

単元としては、心身症に入りました。心のストレスで身体の症状が出るのが心身症ですから、小さい頃など、経験された方が多いかもしれません。
次回は、心身症になるメカニズムを、もう少し詳しくやりたいと思います。

そして体験ワークは、自律訓練法でした。意外と、「できた」「本当に重たく、温かくなるものだな」という感想が多く、驚きました。一回やったぐらいでは、「できなかった、ぴんとこなかった」というほうが普通なのです。心に緊張がある場合は、特に、何日もかかるものです。向いてない、と早く決め付けてしまわずに、じっくり練習していくものだと思っていていただければと思います。

2009年10月7日(水)
第3回

「神経症」の中の社会恐怖(対人恐怖)、強迫性障害を中心に勉強しました。
強迫性障害というのは、強迫観念と強迫行為があることが特徴です。自分も軽いものは体験したことがある、ということで、その気持が理解できたという感想が多かったです。
体験ワークは、神経症に関係が深い、「森田療法」でした。「気にすればますます症状がひどくなる」という、精神交互作用の、三角形ぐるぐる回りの図は、分かりやすいですよね?。
そういう悪循環が自分の中にあるとき、「症状があっても、やりたいことをやろう。やりたいことは、何だったかな」と、原点に返ること(目的本位)が、森田療法の特徴と思います。
レポート課題をこれにする方は、日記形式でやっていただきます。森田療法の考え方を念頭において、日記を書いていただきますが、レポートは、日記の内容と言うよりも、しばらくやってみてどうだったか、どう思ったかという感想を主に書いてください。

2009年9月29日(火)
第2回

これから毎週、何らかのこころの不調について勉強していきます。まずは「神経症」ということで、全般性不安障害とパニック障害について勉強しました。特にパニック障害は身近におられるという感想が多かったです。
「予期不安」の軽減がキーになるということを、その用語の意味とともに覚えておいていただければと思います。
体験ワークは、「イメージトレーニング」です。こうなったらいいな、という理想の状態を思い描いてイメージすることと、そのために今できることを具体的にイメージすることの2段階で、やってみました。ちょっと気恥ずかしかったけどやってみると意外とイメージできて良い気分になれたり、自分の気持ちがはっきりしてよかった、という感想と、適切な夢が思い浮かばなかった、良いイメージに集中しにくかったという感想に分かれました。
もうすでに夢が叶ったようなつもりになることで、実際に夢が叶いやすくなるといわれています(逆に、自分には無理だよな、と思ってると、チャンスが来たときにわざと逃してしまうようなことも起こりますから…)。ぼちぼち練習してみると、何かが変わるかもしれませんよ。

次回の体験ワークは、リラクゼーションとかイメージの系統ではなく、森田療法の講義です。

2009年9月15日(火)
第1回

精神保健学はじまりました。半期間よろしくお願いします。
第一回は、精神保健の歴史の始まりということで、西洋や東洋の、古代の精神保健を垣間見ました。
一時限しかないので、ざーっと見ていきましたが、あの他にもいろいろあるのですよ。例えば、ヨーロッパの紀元一桁の時代は、心を病んだ人が森に捨てられただろうと言われています。それで狼男の話があるんだとか…。魔女狩りも似たような意味を持っています。そのうち、精神科の病院が出来て、そして、精神科から鎖を取り払った「ピネル」という人が出てきて…
まあ、人間を捨てたりただ閉じ込めるなんてことは、幸せではなかったから、社会全体として改良、改良が目指されてきたわけで。
歴史を土台にして、現在がありますね。

ワークは日本の江戸時代におけるイメージ療法、「軟蘇の法」です。あの時代、ヨーロッパでやっていたのは催眠とかです。でも軟蘇の法は、自分で自分に暗示をかけて、誰でもやれる方法ですし、無駄が無く洗練されており、日本が世界に誇れるイメージ療法です。
配布したプリントは、2枚です。