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犯罪心理学
1 紹介
 犯罪の原因論その他の学習により、犯罪を抑止する社会や家庭生活とはどういうものか、それぞれの方が考えるきっかけになればと思います。
 授業にディスカッションを含みますので、その点了解の上、積極的な参加を望みます。

2 評価
  以下により評価します。
   試験(持ち込み不可)…60%
   出席        …14%
   レポート      …26%
   

 
 レポート課題は、以下のうち1つを選択していただきます。レポートの締切は7月31日(金)18:00です。  森川研究室のドアの下から投げ入れていただきます。
    @ 福岡県警察「大学生ボランティア」に登録・参加して感想文1500字程度。この場合、5月16日(日)の研修会に出席すること。

    A 「少年非行防止大会」(6月4日)を聴講し、感想文2000字程度(2000字の中には、非行や非行防止関連のことを自分で調べたものを含めてよい)。


    B 刑事裁判を傍聴し、レポート2000字程度。 傍聴方法は本HPに掲載

    C 指定の書籍のうち1つを選び、感想文2000字程度。 (初回のプリントにて指定)
       ・ 『大阪・道頓堀川「ホームレス」襲撃事件―"弱者いじめ"の連鎖を断つ』北村年子 太郎次郎社
      ・ 『心からのごめんなさいへ 一人ひとりの個性に合わせた教育を導入した少年院への挑戦』 品川 裕香著 中央法規
       ・ 『女子少年院』魚住絹代著 角川書店

 なお、@の活動をしてみようと思う方は、ボランティア登録申込書の締切までに、森川まで提出してくだ さい。 
  


3 連絡

 今のところ休講の予定はありません。














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2010年4月30日(金)
第4回

犯罪社会学の続きです。
有名な、マートンの「アノミー論」について勉強しました。
・その文化の成員がわりと共通して目指すような文化的目標がある。
・目標達成のための手段が不均衡(不平等)である。

この2つが揃っている社会は、犯罪が起きやすい、という説です。
前者だけなら、それぞれの人が目標を目指して頑張ろうとするのですから、
いいのですが、
もし、その社会で、目標達成のための手段が不均衡であれば、
比較して不公平感を強く感じますし、「それなら力づくでもぎとってやろう」みたいな感じになって、
犯罪がおきやすいという理論です。
文化的目標は、例えばアメリカでは、アメリカンドリームといわれるように、
富、具体的には億万長者になると、尊敬されますね。そういうものです。

日本では、長者にならなくていいから中流家庭を営めれば、という文化的目標があるような気がします。
そして日本では、
学歴の高低でその夢を叶えられるかどうかが大きく左右されるところがあるのではないでしょうか。
それが、日本の場合に非行が起こる要因の一つではないかということで、「学歴アノミー」という言葉を使っている人たちがいますので、そのことを勉強してみました。

ところで、
前回、アメリカの犯罪に関するある特徴について、そうなる理由について、
多元論・統合論的にいろいろ皆さんに考えていただいたので、今回、フィードバックしました。

そこまでは良かったのですが、それに気を取られて、他にいただいていた質問にお答えするのを失念しました。すみませんでした。
「一元論、多元論といったものの考え方は、犯罪心理学以外でも使いますか」「応用可能ですか」という質問をいただいておりました。
私はこの、一元論、多元論という言葉を、以前東亜大学にいらっしゃった酒井先生という方の授業でお聴きして、犯罪心理学のものとして思っておりましたが、
そう言われて考えてみると、
他の事象についても、多元論的に考えることが、有効と思います。
例えば、臨床なんかではそうで、ある人に出社拒否などの悩み事があるときに、その原因を一つのことに求めてしまうのではなく、いろいろ思い浮かべて、浮かばせておき、
距離を取って眺めてみるほうが、あせらずにすむし、解決できる小さなところからやっていこうという気になれますので、役に立つと思います。

ただ、学問的には、
一元論の対に二元論という言葉を持ってきている学問領域があって、
一元論の方がいいみたいな用いられ方をされている場合があるようで、
((たとえば心身二元論というと、心と体を分けて考える考え方。心身一元論は、両者を一体のものとして考える考え方)
うーん。一元論って、文脈によって使われ方が違う言葉のようです。
なので、別の領域の本を読むと、そのときは、あたまがこんがらがるかもしれません。

2010年4月23日(金)
第3回

先週、現代日本の犯罪の動向について、疑問や、自分の思う仮説を、感想の紙に書いてくださった方が多かったので、プリントにまとめて紹介しました。

それから、犯罪心理学の理論に入りました。
本日は、その初回ということで、犯罪心理学の原因のとらえかたについてお話しました。
歴史的に観ると、昔は、犯罪の原因を一元論的に見るとらえかたが主流でした。
今日の犯罪心理学は、もっと多元論的になっています。でも、ワイドショーなんかでは、ディスカッションの流れを、一つの方向にだけ集約する傾向があります。あれは、話を分かりやすくするためにやっていることです。多元論的に、いろいろな仮説を思いつくことができればいいと思います。

多元論と、統合論の違いについて、質問がありましたが、
多元論は、羅列的にいろいろな原因を想定する。
その中から、特に犯罪の原因として意味が大きいと思う原因同士の影響し合いの矢印を、研究者が想定(モデル化)し、本当にその推論は正しいかどうかを検証するのが、統合論的な見方です。

その後、犯罪社会学の社会解体論の話に入っていくのですが、今日はその時間がありませんでした。次回、プリントを持ってきていただければと思います。
本日配布したプリントはB4が2枚です。

2010年4月16日(金)
第2回
現代日本の犯罪動向について、犯罪白書を見ながらつかんでいただきました。なぜか平成15年あたりに非侵入窃盗が増え、その後現象に転じていること。オレオレ詐欺はなかなか少なくなっていないこと。その他いろいろな特徴を見出していただき、その謎について、仮説を考えていただきました。

配布したプリントはB4が2枚です。
2010年4月9日(金)
第1回
こんにちは。始まりました。犯罪心理学の初回は、「犯罪とは」という定義についてお話しました。時代や国によって全然その定義は違います。そのことを端的に言い表したデュルケムの言葉に、アンダーラインを引いていた人が多かったように思いました。