犯罪社会学の続きです。
有名な、マートンの「アノミー論」について勉強しました。
・その文化の成員がわりと共通して目指すような文化的目標がある。
・目標達成のための手段が不均衡(不平等)である。
この2つが揃っている社会は、犯罪が起きやすい、という説です。
前者だけなら、それぞれの人が目標を目指して頑張ろうとするのですから、
いいのですが、
もし、その社会で、目標達成のための手段が不均衡であれば、
比較して不公平感を強く感じますし、「それなら力づくでもぎとってやろう」みたいな感じになって、
犯罪がおきやすいという理論です。
文化的目標は、例えばアメリカでは、アメリカンドリームといわれるように、
富、具体的には億万長者になると、尊敬されますね。そういうものです。
日本では、長者にならなくていいから中流家庭を営めれば、という文化的目標があるような気がします。
そして日本では、
学歴の高低でその夢を叶えられるかどうかが大きく左右されるところがあるのではないでしょうか。
それが、日本の場合に非行が起こる要因の一つではないかということで、「学歴アノミー」という言葉を使っている人たちがいますので、そのことを勉強してみました。
ところで、
前回、アメリカの犯罪に関するある特徴について、そうなる理由について、
多元論・統合論的にいろいろ皆さんに考えていただいたので、今回、フィードバックしました。
そこまでは良かったのですが、それに気を取られて、他にいただいていた質問にお答えするのを失念しました。すみませんでした。
「一元論、多元論といったものの考え方は、犯罪心理学以外でも使いますか」「応用可能ですか」という質問をいただいておりました。
私はこの、一元論、多元論という言葉を、以前東亜大学にいらっしゃった酒井先生という方の授業でお聴きして、犯罪心理学のものとして思っておりましたが、
そう言われて考えてみると、
他の事象についても、多元論的に考えることが、有効と思います。
例えば、臨床なんかではそうで、ある人に出社拒否などの悩み事があるときに、その原因を一つのことに求めてしまうのではなく、いろいろ思い浮かべて、浮かばせておき、
距離を取って眺めてみるほうが、あせらずにすむし、解決できる小さなところからやっていこうという気になれますので、役に立つと思います。
ただ、学問的には、
一元論の対に二元論という言葉を持ってきている学問領域があって、
一元論の方がいいみたいな用いられ方をされている場合があるようで、
((たとえば心身二元論というと、心と体を分けて考える考え方。心身一元論は、両者を一体のものとして考える考え方)
うーん。一元論って、文脈によって使われ方が違う言葉のようです。
なので、別の領域の本を読むと、そのときは、あたまがこんがらがるかもしれません。
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