「理論だけでなく現場での研究を積極的に行いたい」と、1年のうち1~2ヵ月は東南アジアを巡る柳田志学准教授。海外に進出する日本の多国籍企業の研究がどのような未来につながっていくのか、学生たちにどのような学びを与えられるのか、インタビューを行いました。
柳田准教授のこれまで
東南アジアを巡って知った
現場の重みを伝えたい
私の研究内容は国際経営(国際ビジネス)という学問分野で「サービスの国際化」が中心テーマ。サービス研究は教育サービス、医療サービス、娯楽サービスなど多岐にわたりますが、その中でも日本の外食・美容などのサービス企業が東南アジア諸国(ASEAN)へ進出する際の現地適応と価値共創に焦点を当てています。
きっかけは大学3年生の夏に1ヵ月ほどタイ東北部の農村で国際ボランティア活動を行ったこと。孤児院での滞在やスラム街の訪問を通して現地の生活や貧困の問題を肌で感じ「理論だけでは見えにくい現場」がもつ重みを実感したんです。その経験を通して「研究と教育を両立させたい」という気持ちが芽生え、現場を見てこそ出てくる課題を学術的に整理し、地域とグローバルをつなぐ意味ある知見を生み出したいと考えるようになりました。100%のうち70%は理論、残りは現場だと考えているので、実際に1年のうち1~2カ月は東南アジアを巡っています。先日も2週間お休みをいただける機会があったのでずっと現地にいました。この仕事はコンビニと同じで24時間営業。まるで芸人さんのように、いつも「何かおもしろいネタはないかな」と探しているんです。
研究について
サービス多国籍企業の研究で
地域と世界をつなぎたい
2025年にASEANに正式加盟した東ティモールにはまだ行けていないのですが、他の東南アジア諸国はすべて訪問しました。近年はタイ、フィリピン、インドネシア、ミャンマー、ベトナムなどでフィールドワークも行い、日本のサービス多国籍企業がどのように文化・宗教・制度といった隔たりを乗り越えて国際事業展開しているのかを明らかにする研究を行っています。実は東南アジアには、日本人なら誰もが一度は食べたことがあるような有名外食チェーン店がたくさん進出しているんです。あの有名な牛丼店やラーメン店、うどん店など、中にはここ福岡で生まれた店もあります。でも、日本とまったく同じそのままのスタイルが東南アジアで受け入れられているわけではありません。実際に現地で店舗に入ってみると、同じようで何かが違う。たとえば、よく見ると、日本では当たり前にあるカウンター席がありません。その理由は文化の違いにあり、「外食はひとりで食べるものではなく家族や友人たちと食べるものだから」なのです。メニューも日本とは異なっており、私がインドネシアで某うどん店を訪れた際は、スパイシーな料理が好まれる国だけに、客は唐辛子を大量にかけているし、知らないトッピングもありました。海外で成功するためには、メニューや価格帯を国によって上手に変えつつ、変えすぎてジャパンブランドではなくならないようにする…という「違って同じ」のさじ加減をどうコントロールするのかが大事。それが、国際ビジネスにおいて考えなくてはいけないことのひとつです。
インバウンドで来日した外国人に話を聞くと、「自分の国の日本食レストランとは違う。本場の味はおいしい」と言ってくれます。海外での日本の外食が人気だからこそ「本場で食べてみたい」と来日する人が急増していることがわかり、海外に進出することの意義を感じますよね。私が研究する上で目指しているのは、「サービスを通して人と人、地域と世界をつなぐ」こと。企業が海外で活動するとき、文化や習慣の違いを理解し、現地の人々と協力して新しい価値を生み出すことが大切です。その仕組みを理論と実践の両方から明らかにすることで、日本の企業や地域が世界とより良い関係を築く手助けができると考えています。また、学生が九州という地域や海外で学ぶ機会を増やし、「九州から世界へ」挑戦できる人を育てることも目的のひとつです。
今後の活動・目標について
現場とのコネクションで
学生が世界を知るきっかけに
私のゼミでは国際ビジネスと地域活性化の融合を目指したプロジェクト型教育を展開しており、ゼミ生が自治体や企業と協働しながら商品開発やインバウンドをターゲットにした企画立案、ブランド提案などに挑戦しています。そのひとつが、福岡県商工会連合会との産学連携プロジェクト。「若者目線で地域の魅力を再発見する」をテーマに、博多マルイ2Fにある福岡のアンテナショップ『DOCORE』の認知度向上のためのプロモーションや新商品の企画・提案に取り組んでいます。販売ターゲットは決まっていて、取り扱う商品も400種類ほどあるのにあまり知られていないという課題に対して認知をどう広げていったら良いのかを学生たちと考えています。さらに、数年後には福岡の商品を東南アジアで販売できるまで活動を進めていくのが目標です。加えてこれから先、学生に海外の現場を見てもらえる機会をつくっていけたらと考えています。スタートとして、先日、『食品ビジネス研究Ⅱ』という授業の中で、コメダ珈琲の海外進出に携わったバリ島在住の方にオンラインでインタビューをすることができました。これからも現場に積極的に足を運び、国際ビジネスの最先端で活躍する方々とつながることで、私の研究内容をそのまま生かした授業やゼミ活動が行えたらと思います。
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- Q.趣味はなんですか?
- 空手と筋トレ。空手歴は25年以上で、指導員の経験もあり。
筋トレは、海外調査の際にいつどこで襲われても対応できるよう、
週3回学内のトレーニングジムに通っています。
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- Q.好きな食べ物は?
- カレー。大学1年生の夏にマレーシアで食べたチキンカレーの味が忘れられず、
全国の大学の学食や東南アジアでよくカレーを食べます。
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- Q.今、興味・関心があることは?
- 東南アジアの言語を習得すること。1~2年間で1カ国語のペースが目標です。
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- Q.座右の銘を教えてください
- 人は裸足でその現場に立たなければ真実は何も見えてこない
礼儀正しく生意気であれ -
- Q.「九産大生」の印象は?
- 素直で、伸びしろのある挑戦者たち
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子どもたちが
飢えない社会をつくる -
九州の農業を
ロボットの力で支える -
海洋プラスチックについて考える
”きっかけ”を与えたい -
写真を通じて
人と場所のつながりを探求する -
食の安全・安心を追究し、
食品ロスを減らしていきたい -
新しい冷媒技術で
未来の人類を救いたい -
快適で健康的な
居住環境をデザインする -
スポーツを続ける
「明確な効果」を広めたい -
個人が、楽しみながら
「水害対策」を行う時代に -
ラーメン店のおいしさを
お土産品でも再現したい -
日本の観光を
もっとおもしろく変えていく -
暮らしも人間性も豊かになる
「言語学」の魅力 -
「工作」と「遊び」の力で
地域の課題を解決したい -
新興国の経済研究で
日本の経済を輝かせる -
九州から世界への挑戦を
研究を通して応援したい