アジア新興国のエネルギーに魅せられ、海外に進出する台湾の多国籍企業に関する研究に取り組む中原裕美子教授にインタビュー。学生たちが海外に目を向けることの必要性や、九州そして日本のこれからの経済成長の可能性について話を聞きました。
中原教授のこれまで
アジア企業のエネルギーに圧倒され
会社員から研究者の道へ
大学卒業後は電気機器メーカーに就職し、海外向けパソコンの開発部門で英文マニュアルを作成する仕事をしていました。当初の仕事相手は欧米企業中心だったのですが、アジア新興国の企業が台頭するようになり、台湾や韓国の企業とよく仕事をするようになったんです。特に台湾の企業が多く、荒削りながらも「世界市場に出ていくんだ!成功するんだ!」という勢いに圧倒されるとともに、アジアが成長していくエネルギーを感じました。「台湾っておもしろいな、アジアっておもしろいな」という気持ちからアジア経済を研究したいという思いが芽生え、勤めていた電気機器メーカーを退職。大学院修士課程・博士課程へと進み、経済学の博士号を取ったのち、九州産業大学に着任しました。
電気機器メーカーでの経験をきっかけにアジア経済論と出会うことができましたが、いろいろな海外企業との英語でのビジネス経験や、「世界市場に製品を出して、世界市場からの評価を得ること」の醍醐味を経験したことも、私の大きな財産になっています。
プロジェクトについて
台湾の多国籍企業の研究を通し
日本が半導体産業で再び輝くヒントを得る
現在、私が取り組んでいるのは、アメリカ、フランス、オランダ、ロシアなど、海外の研究者を含む11人のメンバーで構成された新興国の多国籍企業に関する研究プロジェクト。私は新興国の中でも台湾を中心に研究してきましたが、同じアジアなら中国、ほかにもヨーロッパのポーランドなどを含め、新興国全体をまとめて考える理論やフレームワークというものがなく、新興国の多国籍企業が海外に進出していることに対する研究が遅れています。その遅れを取り戻すためには、日本の中だけで研究していても進みません。そこで、「世界中の研究者の知恵を借りよう」と声を掛けてプロジェクトを立ち上げ、リーダーとして取り組んでいます。2022年4月にスタートしたところ、ありがたいことに同年10月には、日本政府から国際共同研究のための競争的研究資金をいただくこととなり、研究が続いています。2027年にはプロジェクトのメンバーに世界中から集まってもらい、九産大で国際カンファレンスを開催するのが目標。その際にはぜひ学生たちにも参加してほしいですね。
プロジェクトの中で私が主に取り組んでいるのは、世界最大の半導体企業であるTSMC(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー)に関する研究。かつて九州はシリコンアイランドと呼ばれ、1980年代には半導体の生産量で世界の約10%を占めたほど半導体生産が盛んでした。しかし、海外メーカーの躍進などによって2000年代初めごろにはすっかり落ち込んでいたんです。その状況を再び変えたのが、TSMCが熊本にやって来たこと。その経済効果は絶大で、シリコンアイランド九州は大きく再生しようとしています。このことはきっと、九州で就職活動する学生の皆さんにも大きな影響を与えることでしょう。また、世界では自国で不足する分野の高度人材を海外から誘致する動きが活発になっていますが、台湾はその先行事例となっています。台湾の事例を研究することで、AIや半導体など日本が遅れている分野の人材を補い、日本の技術を発展させ、日本が再び輝くためのヒントを得ることができるでしょう。
今後の活動・目標について
海外に目を向ける必要性を知り
九産大の環境を活用してほしい
これからの個人的な目標は、常に国際学会に受け入れられるような研究をし、自分自身をアップデートし続けること。私の活動が学生たちの刺激になり、彼らがどんどん海外に目を向けてくれたらと考えています。ひと昔前までは「海外と仕事がしたい」と思ったら、東京の一流商社などに就職する必要がありましたが、今は地元の小さな会社でも海外と取引をしている時代です。特に九州はアジアの国々とのやり取りが盛んなので、たとえ地元志向の学生であっても海外との関わりを視野に入れておく必要があります。とはいえ、円安の影響もあってそう簡単に海外に行くことができませんよね。そこで、ぜひ活用してほしいのが本学の恵まれた環境なんです。
九産大は海外との交流が活発な大学。私のゼミでも海外の大学と積極的に交流しており、中国の名門・吉林大学の学生たちが来訪した際には日本企業のアジア進出などについて英語でプレゼンテーションを行ったり、ハワイ大学から来た学生たちと手巻き寿司を楽しんだりするなど、学内で海外と関われる機会が多数あります。本学の学生はコミュニケーション力が高く、海外の学生たちにも臆することなく積極的に関わるのでいつも感心しているんです。その力を、「企業活動が海外との関わりなしには成り立たない」この時代に役立ててくれたらと思います。
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- Q.趣味はなんですか?
- フィギュアスケートを観ること(私も昔していました)
推しの声楽家(福岡出身のバリトン歌手・加耒徹さん)が出演する
コンサートに行くこと
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- Q.好きな食べ物は?
- スイーツ全般(特にモンブラン)
ランチビュッフェ(食べ物じゃない?笑)
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- Q.今、興味・関心があることは?
- お菓子づくりにおけるタイムパフォーマンスの追求
(フードプロセッサを使った生地づくり、圧力鍋を使った栗の皮むきなど) -
- Q.座右の銘を教えてください
- Where there is a will, there is a way. (意志あるところに道は開ける)
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- Q.「九産大生」の印象は?
- 無限の潜在力を持っている、磨けば光る原石
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子どもたちが
飢えない社会をつくる -
九州の農業を
ロボットの力で支える -
海洋プラスチックについて考える
”きっかけ”を与えたい -
写真を通じて
人と場所のつながりを探求する -
食の安全・安心を追究し、
食品ロスを減らしていきたい -
新しい冷媒技術で
未来の人類を救いたい -
快適で健康的な
居住環境をデザインする -
スポーツを続ける
「明確な効果」を広めたい -
個人が、楽しみながら
「水害対策」を行う時代に -
ラーメン店のおいしさを
お土産品でも再現したい -
日本の観光を
もっとおもしろく変えていく -
暮らしも人間性も豊かになる
「言語学」の魅力 -
「工作」と「遊び」の力で
地域の課題を解決したい -
新興国の経済研究で
日本の経済を輝かせる -
九州から世界への挑戦を
研究を通して応援したい