来居: | 今まで、君は何回かタッチタイピングに挑戦したと言ったね。 | |
真臼: | うん、そうだよ。 | |
来居: | どうやって勉強したの? | |
真臼: | いろんな方法を試した。 本屋でキーボードやタッチタイピングの練習法の本を数冊買ってきて、書いてあるとおりに練習したり、インターネットでタッチタイピング関係のホームページを探して、その説明を読んだりしたが、どれもうまくいかなかった。最近は、タイピング練習用のソフトもいくつか使ってみたが、やはりだめだった。 |
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来居: | へえ、けっこう努力したね。 | |
真臼: | 私だって、自分なりに努力したよ。しかし、ぜんぜんいい結果が出ない。 | |
来居: | 「いい結果」って、どんな結果なの? | |
真臼: | 速くキーボードを打てることよ。 | |
来居: | 君の考え方は、よく言えばまだタッチタイピングの真意を理解してない、悪くいえば動機不純だね。 | |
真臼: | 動機不純って? | |
来居: | 前回タッチタイプのメリットを話したが、それはいずれも結果であり、タッチタイプの基本はあくまでもキーボードを見ずに入力できることだ。 | |
真臼: | しかし、速く打てなければ意味がないじゃないの? | |
来居: | それはいずれ結果として自然に現れてくるものだ。 | |
真臼: | 「速く打てる」という目標を持ってやった方が、やりがいも感じるし、より速く上達するんじゃないの。何かいけないことがあるの? | |
来居: | いけないね。 一定の段階に達してからそういう目標を持つことはいいことだが、基本もできていないうちに「速く打とう」とばかり考えたら、焦りが出て、けっきょくいい結果につながらないんだ。 「速く打つ」ということでいえば、最初はタッチタイプよりも、いつもやっているように、キーボードを見ながら打った方が速い。君の場合、しばらく練習してもスピードが上がらないから、ついつい従来のやり方でするようになってしまうんだろう。それではいつまでも上達しないよ。 |
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真臼: | そんなところも関係があるんだね。 私の練習法には他にも何かいけないところがある? |
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来居: | そうだね。 君はいろんな「練習法」を探してやってみたといったね。 |
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真臼: | そうだけど。 | |
来居: | はっきり言って、時間の無駄だ。 | |
真臼: | どうして? 何をやってもいい方法と悪い方法があるだろう。いい方法でやれば速く上達するんじゃない? |
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来居: | そういう場合もあるが、タッチタイプに限っていえば、どの練習法も大した差がないはずだ。そういうところに時間を使うよりも、実際の練習に時間を使った方がいい。 | |
真臼: | 君のいうとおりかもしれないけど、まったく知識がなかったら練習がうまくいかないじゃないか。 | |
来居: | まあ、そういうことになるけど。 しかし、絶対必要な知識は、タイピング関係の本やホームページならどこにでも載っているはずだ。あれこれ読む必要はない。さらにいうならば、本の場合は最初の数ページ読めば十分だ。 |
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真臼: | その「絶対必要な知識」ってどんなものなの?教えてくれないか。 | |
来居: | 特別なことじゃないよ。君は今までにいろんな本やホームページを見たから、その知識で十分だ。私から教える必要はないはずだ。 | |
真臼: | 無責任だね。 確かにいろんな解説を読んだよ。自慢じゃないけど、けっこう知識や情報ももっているけど、逆にどこが大事かわからなくなっている。だから君のほうからもう一回大事なところを教えてほしい。 |
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来居: | そんなにいうなら、仕方がない。 ただし、大事なところだけいうから、わからないところは自分で調べて。 |
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真臼: | わかったよ。 | |
来居: | まあ、簡単にいえば、2点だけだ。 (1)ホームポジションを守って、どのキーをどの指で打つかを正しく覚える。 (2)文章を見て、キーの位置と使うべき指を考えながらゆっくり入力する。 |
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真臼: | それだけ? せめて注意すべきところを教えてよ。 |
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来居: | (1)に関していえば、手はつねにホームポジションから離れないことだ。キーを打つとき、指一本だけ離れるが、すぐ元の位置に戻す。 (2)に関して、大事なことは、すぐキーボードを見ずに、しばらく考えて、頭の中でイメージすることだ。最初は、キーボードを見なければならないが、1時間ぐらい練習したら、後はキーボードを見ないようにする。 君の場合特に注意すべきことは、入力スピードを考えないことだ。焦りの気持ちが出たら、ついついキーボードを見たくなるから。キーボードを見る習慣を変えない限り、絶対上達できないんだ。 |
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真臼: | 君のいったとおりにするよ。 文章を見て入力するといったが、どんな文章がいいの? |
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来居: | どんな文章でもかまわないが、漢字と平仮名中心の文章はやりやすいだろう。 | |
真臼: | ところで、こうやって練習して、どれぐらいの期間でタッチタイプができるようになるの? | |
来居: | 個人差があるから一概にいえないが、毎日1〜2時間練習すれば、1ヶ月もあれば十分だろう。 | |
真臼: | 1ヶ月でできるようになるの? どれぐらい速くなるの? |
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来居: | また悪い癖が出た。すぐ入力スピードのことを言う。 1ヶ月で苦労せずにタッチタイプができるといっているんだ。 タッチタイプができたら、入力スピードは後から自然についてくるものだ。 |
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真臼: | わかったよ。とりあえず1ヶ月間入力スピードのことを考えないようにするよ。 ところで、最近のタイピング練習用のソフトはけっこうおもしろいけど、君はどう思う。 |
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来居: | 使ったことがないからわからない。 まあ、少し楽に練習できるかもしれないが、上達の速さでいえば、私にいわれたとおり、ただ文章をどんどん入力する方が速いだろう。 それに君の場合はとくに要注意だ。最初からそうやって楽な方法で練習しようと思ったら、どんどん楽な方向に行って、けっきょく挫折してしまうよ。苦労して覚えたものこそずっと残るんだよ。 |
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真臼: | 聞かなければよかった。 すぐ説教になっちゃう。 君も固いね。 |
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来居: | さあ、文句を言わずに、今からすぐ練習だ! | |
真臼: | わかったよ。 次回はいつ会えるの? |
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来居: | 一ヶ月後だ。 | |
真臼: | それまで何も教えてくれないの? | |
来居: | 今の段階で教えるべきことは全部教えたから、後は自分でやるだけだ。 タッチタイピングができなければ、次のことを話しても無意味だ。 もちろん、質問があったら、聞きにくるのはかまわない。 |
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真臼: | じゃ、とりあえず一ヶ月後だね。 |
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