脳錯覚を利用したリハビリ制御装置の研究紹介
高齢社会の到来によりリハビリテーションの必要性がクローズアップされています。現在のリハビリ装置は、脳疾患によって麻痺した体機能に対して、医師や理学療法士の代わりに何らかのリハビリ支援動作をするだけで、失われた脳機能を積極的に回復させるような機能はほとんど備えていません。本研究は、麻痺した体機能を「疑似的(受動的)に動かし、麻痺した体機能が動いた感覚を脳に伝える」ことで、麻痺のある体機能が自ら(能動的)運動しているかのような錯覚を与える機能を備えたリハビリ制御装置を開発することを目的としています。錯覚による脳刺激で脳疾患者のリハビリ効果の向上、さらに脳疾患がある患者だけでなく、健常高齢者に利用すれば健康維持(認知症の防止)も期待できます。
2017.4.25
リハビリテーション動作と脳の血中酸素濃度との関係をNIRSを利用して調べました。脳に刺激を与えながらリハビリ運動(ニューロリハビリテーション)をすることで、リハビリ効果が上がる、治らないと思われていた脳機能が再生する、などの効果が期待されています。本研究では、繰り返し動作をさせた場合と人間が予測する(繰り返し)動作からわざと異なる動作をさせた場合に、脳にどのような変化(刺激)が起こるかをNIRSを利用して評価しました。今回の実験では、我々(人間)ではその違いを見つけることができませんでした。そこで、機械学習(ディープラーニング)を利用してそれぞれの動作データの特徴を探しています。