10. キーカスタマイズのいろいろ


数週間後
来居: やー、久しぶり。
どお?その後、順調にやってる?
真臼: 「ワード」のほうは順調だけど、また新たな悩みが増えたんだよ。
来居: どんな悩みなの?
真臼: 「ワード」のキーカスタマイズは、君の設定リストを見ながらだいたいできて、それからはホームポジション中心に使っていた。2週間ぐらいでその設定に慣れたし、確かに便利だ。それがだんだん習慣になって、どこでもついつい使おうとする。しかし、他のソフトでは使えないから、困ってしまった。いろいろさがしてみたが、ほとんどのソフトでは「ワード」みたいにキーカスタマイズができないようだ。そして、Windowsの操作もほとんどキーボードでできないから、なんだかすごく中途半端な感じになっている。
来居: とうとう君も同じ悩みになってきたか。
真臼: というと、君もこういう悩みを持っているの?
来居: こういう問題があったから、最初Windowsへの移行に抵抗したよ。しかし、やはり世の中の流れに抵抗しきれず、Windowsを使うことになった。最初は本当に不便が多かった。いま、Windowsのソフトが増えて、選択の範囲が広くなったから、この問題はかなり改善された。
真臼: どんなふうに?
来居: 選択範囲が広くなったから、キーカスタマイズできるかどうかでソフトを選ぶことがある程度できるようになった。もちろん、キーカスタマイズできない分野が多いが、少なくとも自分がよく使っている「ファイラー」「エディター」「テキストビューア」などの分野ではできるようになったから、何とかWindowsに定着できたんだ。
真臼: 他のソフトの場合はどうしているの?
来居: 一番いい方法は、キーカスタマイズできないソフトを使わないことだ。
真臼: しかし、どうしても使わなければならないときってあるだろう。
来居: もちろんあるけど、操作の少ないソフトはマウスでもかまわない。
真臼: けっきょくマウスを使わなければならないか。
来居: キーボード派は別に「反マウス派」ではないよ。どっちかと言えば、「効率派」といえるかな。もっと効率的な方法があれば、キーボードにはこだわらないよ。マウスを使ったり、マウスとキーボードを組み合わせて使ったり、これから音声認識の技術がもっと進歩すれば、音声入力や音声コマンドも一緒に使うだろう。
真臼: 効率的な方法なら使うのはわかるけど、いまの段階では効率が悪くてもマウスを使わざるをえないことが多いだろう。
来居: 君のいったとおりだ。
真臼: 何とかできないの?
来居: キーカスタマイズのソフトを利用すれば、ある程度まではこの問題を解決できる。
真臼: どんなソフトなの?
来居: 基本的にウインドーから対象ソフトのClass情報などを取得し、設定にしたがってキーコードを書き換えるものなんだ。具体的なソフトとして「EasyPunch」「cmkey」などがある。私はけっこう重宝して使っているよ。
真臼: 具体的にどのように使っているの?
来居: 私の場合は、こういったソフトを利用して、Windows全般の操作性をできるだけ統一したり、ソフトを最も簡単に操作できるようにキーを割り当てたりしている。例えば、文章編集の場面ではどこでも「ワード」と同じように[Ctrl+X]や[Ctrl+R]でカーソルとページを動かせるようにしているし、[Ctrl+1]などで「貼り付け」などの機能を利用できるようにしている。本当に便利だよ。
真臼: ええ、そんなことができるの?
それじゃあ私がよく使っている「Netscape」でもできるの?
来居: できるよ。
キーの割り当ては「ワード」の場合と少し違うけど。
真臼: どのように割り当てているの?
来居: 例えば、画面を上下に1行ずつ移動するとき[E]と[X]に割り当て、1ページ分を上下に移動するのに[S]と[D]に割り当てている。さらに「ワード」にない「戻る」と「次」の機能を[A]と[F]に割り当てている。
真臼: どうして「ワード」と同じように[Ctrl+E]や[Ctrl+X]に割り当てないの?
来居: もっとも「効率的」にするためだ。
[E]だけ押すのは[Ctrl+E]より簡単だから。
「ワード」でもそうしたいが、[E]だけを押したら、文字[E]が入力されることになるからそれで[Ctrl+E]のようにしているんだ。
真臼: なるほど、さすが「効率派」だね。
私もこういうソフトを使ってみたいな。
来居: 使うのはかまわないけど、初心者にはあまり勧めないんだ。
へたすると、キー一つで大事なファイルやフォルダを消したりすることもあるから。
君も最初は無難な機能だけに限定した方がいいよ。
真臼: わかったよ。
来居: ここまでできたら、君も立派なキーボード派になれるよ。後は自分でいろいろ努力するだけだ。
ところで君には一つだけ仕事が残っている。
真臼: なに?
来居: 君の影響力を使って、マウス派にキーボードの良さを教えることだ。
とりあえず終わり