九州産業大学大学院案内2025
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27Doctoral Program1. 大学院進学のきっかけ 私は、中日合弁による大手企業で10年以上勤務しました。業務内容は、日本人リーダーのアシスタントとして部門を跨って、コミュニケーションを取りながら、会社の経営に貢献することでした。この十数年間の仕事を通じて、企業経営の全体像をある程度身に付けることができましたが、これは、あくまでも実践による経験でした。身に付けた経験は、断片的もので、体系的な経営学の知識ではありませんでした。また、組織としての企業は、何のために存在しているのか、企業は、だれのものなのか、なぜ、日本では100年以上の企業がたくさんあるのに対して中国では少ないのかなど日頃から疑問を持っていました。したがって、これらの疑問を解くために、経営学を体系的に勉強したいと思い、大学院に進学することを決めました。2. 現在行っている研究内容 現在研究している内容は、企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility)です。あまり聞き慣れない概念かもしれませんが、実は経営学の基盤となる分野になるのではないかと思います。なぜかというと、企業の社会的責任は、経営戦略、企業組織、コーポレートガバナンス、企業価値向上及び企業の持続可能な発展といった分野と切っても切れない関係があるからです。つまり、企業の社会的責任という分野は、企業経営の全般に関わる学問です。言い換えれば、企業は、何のために存在しているのか、企業は、だれのものなのかという質問に答える学問分野と言っても過言ではありません。また、この概念は、時代とともに変化するもので、経営者は、その変化を常に把握し、企業経営の羅針盤として生かすことを社会から強く求められていると考えられます。サステナビリティが求められる今日、企業のあるべき姿、存在意義、また、社会の持続的な発展の実現に企業は、どのような役割を果たすべきかを考えるうえで、避けて通れない学問的科目になると言えるでしょう。3. 入学して良かったこと 博士後期課程に入学してから、あっという間に3年目になりました。この3年間で一番良かったことは、毎週のゼミナールです。ゼミナールに参加する院生の研究分野は、それぞれ異なります。例えば、百貨店の革新を研究している人がいれば、ハーバードビジネススクールのマイケルポーター教授の競争戦略論を研究している人もいます。異なる分野の院生にも理解してもらうようにレポートを作成する必要があります。分かりやすく説明するために、事前に資料を調べ、説明のロジックを組まなければなりません。もちろん時間が必要ですが、この作業あってこそ、勉強になります。また、先輩と後輩から、さまざまな質問と指摘があり、物事に対する視点が異なることを意識し、視野も広くなります。更に、九州産業大学のキャンパスは、広くて、気持ちよく勉強できる場所と感じています。また、図書館に読みたい本、論文、雑誌は、ほとんど揃っています。なかなか入手できない論文を図書館に依頼することもできるので、勉強するための環境が整っている点もよかったと感じています。4. これからのキャリア(将来)について 大学院を卒業したら、大学で教員になりたいと思っています。企業での経験と大学院で学んだ体系的な経営学の知識を結び付けて、大学生に企業経営の基礎知識を教えたいと考えています。もちろん、理論的な知識だけではなく、中国人の視点から見た日本企業の特徴、中国企業の特徴などをケーススタディしながら、おもしろく教授できればと思っています。ゼミナールで視野を広げる経済・ビジネス研究科  経済・ビジネス専攻  現代ビジネス領域  (マネジメント分野) 博士後期課程  陳 祥 さん 社会人 中国出身大学院生インタビュー研究者として自立し、社会で活躍できる人材を育成します。博士後期課程は、実践的な経験を通して、革新的な発想やリーダーシップ能力を身につけ、将来的に研究者や専門家としてのキャリアを築くことができる環境を提供しています。そして、異なる専門分野や学問領域との連携を重視し、学際的な視点から国際社会や地域社会の発展に貢献できる人材を育成します。博士後期課程

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