SPECIAL COLUMN

各業界の最前線を走り続ける“九芸卒”の先輩たちから、熱いメッセージ。

自分がつくったもので人を喜ばせたかった。

  • 絵本作家よしながこうたく
2002年卒。1979年福岡県生まれ。2002年、4年間の作家活動の後、上京。イラストレーターとして国内外で活躍する。 2007年より拠点を福岡へと戻し、兄弟ユニット「STUDIO Edomacho」を設立。代表作は「給食番長」シリーズ、円谷プロと組んだ「ぼくだってウルトラマン」シリーズなど多数。

大ヒットとなった『給食番長』シリーズをはじめとした、個性あるイラストで人気の絵本作家、よしながこうたくさん。人を喜ばせることに重きを置き、精力的に活動を続けるよしながさんの、絵に対する想いやこだわり、学生へのメッセージを伺った。

よしなが

絵描きになろうと強く意識したのは、大学1年生の終わりごろですね。大学近くの画材屋の裏に「夢工房 貘」というジャズ喫茶があって、よく通っていたんです。そこのマスターにイラスト入りの年賀状を送ったら突然、「お前、見込みあるから絵描きになれ」と言われて。よくよく聞くと、実はマスターは親富孝通りの老舗ギャラリーのオーナーだったんです。そこから「1年やるから、その間に絵を描きためて個展をやれ」ということになって(笑)

当時はまだ漫画っぽい画風が珍しい時代だったので、周りからも一目置かれるようになりました。それからですね、絵のためだけに時間を費やすようになったのは。ひたすら籠って独自のタッチを生み出すことに執心したり、実力試しに路上アートを売りながら日本を放浪したり。この学生時代の「遊びながら夢を追いかける」経験が今の自分の肥やしになっていますね。どうすれば人が笑うのか、悲しむのかを学ぶことができたのは大きいです。

また、一生懸命そういうことをやっていると、同じ目的を持った人間が自然と周りに集まってくるんですよね。さらには活動を支えてくれる大人たちも出てくる。そのチャンスをしっかり掴めたんでしょうね。絵本にしても、自分の絵に自信を持って必死に描き続けていたから、お話をいただけたと思います。今さらながら、絵というものは本当にすごいコミュニケーションツールだと実感しますね。

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「給食番長」作・絵:よしながこうたく 出版社:好学社

ご自身が絵を描かれる上で大事になさっていることやこだわりを教えてください。

人を喜ばせることを常に意識して絵を描いています。

もともと父親がブラジルの方にお世話になった縁もあり、小さい頃からちょくちょくブラジルへ慰問に行っていました。その時、現地の貧しい環境や小さい子供たちとの触れ合いに、ボーッと過ごしてきた自分が打ちのめされた感じがしたんです。何とかこの子どもたちを笑顔にしたいと。その気持ちを今でも持ち続けていますし、絵本づくりでもそこに重点を置いています。

絵本づくりって子どもとの戦いなんです。子どもは体力があって肉食系だからこっちも気を抜けない(笑)。大人相手だと、見せたいものを際立たせて描けばいいんですが、子供はそうはいかない。どんなにゴチャゴチャしていても細かく観察するように読みますから、丁寧に本の隅々まで描かなきゃいけないんです。企画から出来上がるまで半年くらいの時間をかけて、絶対に喜ばせてやるという気持ちで描いています。あとは、地元の風景をしっかり描き込んだり、取材させていただいた人や建物を出演させたりしていますね。やはり、子どもであれ大人であれ、知っている景色やモノ、人が出ているだけで嬉しいんですよね。

これから大学生になる方、イラストレーターや絵本作家を目指す学生へ、メッセージをお願いします。

学生さんには、まず夢を持って欲しいですね。そこからそれを一生懸命に追って欲しい。先が見えないと人間ダラダラしてしまいますからね。明確に方向さえ決めてしまえば、開き直って何にでも飛び込めるし、苦しいことも楽しいはずです。僕なんかは「美しいものを探す」という意識だけ持って過ごしていましたから、何をやっていても楽しかった。普段からずっと絵を描いていると毎日が気づきの連続で。日常生活が感動だらけなんですよね。

あと、イラストや絵本に限ったことではありませんが、誰にも負けない自分だけの武器を手に入れて欲しい。僕の絵のタッチは強烈で、絵本業界では他に類の無い初めての作風だったんです。たくさんの方に読んでいただけたのは組み合わせの妙かもしれませんが、それくらい人と違うことや、自分だけの視点が求められる世界だと思います。他の作家さんの絵をみることもいいですが、学生さんには自分のオリジナルの武器で新しいものを産みだして欲しいですね。

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