PlusK_vol.50
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“自分は何者なのか”を問い続けて本学を巣立った卒業生たちは、自らの手で未来を切り拓き、それぞれの専門性を究めながら社会で活躍しています。◆短大時代の思い出 イラストレーターになりたくて、デザインを学ぶならここだと入学を決めました。学生生活で一番印象に残っているのは、課題として立体イラストレーションを選んだ卒業研究です。立体作品へ初めての挑戦でしたが、制作してみると予想以上に“ハマる”感覚があり、高評価を受けたことでさらに自信を深めました。振り返ると、これが人形師の道に進むきっかけとなっています。◆博多人形の魅力とは? 博多人形という伝統工芸の世界に身を置いて、20年余りの歳月が経ちました。博多人形の魅力をあえて言葉にするなら、“古代より人々がつないできた、良きものを願う祈りのかたち”です。ただ、それ以上に、“何か良い!”なのです。私の心をつかんで離さない何かが、確かにある。私はそこに天命というものの存在を感じ、それは私の心に好奇心という形で常に燃えています。その心に火をともすのは、私の場合は人形であったということです。◆学生の皆さんにメッセージ どんな時も、自分を自分たらしめている、あなただけの信念に従ってたくましく生きてください。何が自分で何が自分ではないのかは、自発的な経験を重ねなくては気付けないものです。間違うことを恐れずに、自分が何者であるのかを問い続けてください。もちろん私も、一生を賭した旅の途中です。同じ時代を生きる仲間として、共に歩み続けましょう。鶴田 加奈子さん博多人形師Tsuruta Kanako[プロフィール]1978年生まれ 福岡市出身1996年3月 香椎高校卒業1998年3月 九州造形短期大学(現・九州産業大学造形短期大学部) デザイン科卒業[略歴]短大卒業後、アルバイトをしながら、福岡市と博多人形商工業協同組合が主催するプロ人形師養成のための「博多人形師体験講座」を2年間受講。博多人形伝統工芸士である故・辻下重丸氏に師事し、5年間の修行期間を経て、博多人形師として独立。「第63回福岡県美術展覧会(彫刻部門)」入選、「第40回福岡市美術展覧会(彫刻部門)」入選、「第71回新作博多人形展」国土交通大臣賞受賞および博多人形商工業協同組合理事長賞など、多数の受賞歴を持つ。 生きていれば、人の力ではどうにもならない辛い時がある。そんな時、あなたをずっと見つめている。いつか再び立ち上がり、歩き出すあなたを待っている。 元気でいようね。 元気でいてね。◆国土交通大臣賞「アマビエさん」 疫病から人々を守るという伝説がある妖怪「アマビエ」を モチーフにした作品「第71回新作博多人形展」受賞作品◆博多人形商工業協同組合理事長賞「招オガタマ靈ノ木キ」 神前に供えるモクレン科の常緑樹をモチーフにした作品2021 SUMMER07

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