PlusK_vol.48
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CHILD + MUSIC 吉野有吏香には、2つの顔がある。 ひとつは音楽家の顔だ。5歳から始めたピアノはさまざまなコンクールで上位入賞を果たす腕前で、高校からは声楽にも取り組んだ。「ピアノも声楽も、謙虚な姿勢で取り組むように心掛けています。音楽で伝えたい思いは、聴いてくれる方がいて初めて届くものですから」。 鍵盤を走る指はよどみがなく、紡がれる音色はつややかだ。そんな吉野でも、演奏前に苦しんだ経験は数多い。「思うように表現できず、ピアノを辞めたいと悩んだことも。でも、聴いてもらった方に”素敵な演奏をありがとう“と言ってもらえて、涙が出るほどうれしかった」。一瞬一瞬を大切にしながら努力する子どもを支えたい そして、もうひとつが子ども教育者としての顔だ。「九産大の子ども教育学科は新設されたばかり。型どおりの教育がない状態で学びたいと思いました」。 音楽と子ども教育の共通点は、「二度と同じ経験ができないこと」。ステージ上で奏でた音楽は、その刹那聴く人の心だけに残る。成長する子どもは、あらゆる刺激を吸収して日々変化していく。どちらも、二度と訪れない瞬間だ。 「子どもの努力を支え、子どもの無限の可能性を引き出す教育者になりたい」と話す吉野の瞳には、ピアノに向かう時と同じ輝きが宿っていた。Profile吉野 有ゆ吏り香かさん人間科学部子ども教育学科 1年(小倉西高校) 「子育て支援室」に会員登録した親子との手紙のやり取りなどを経て、11月には香住ヶ丘保育園での実地見学に参加。「実際に子どもたちと触れ合うことで、子どもの個々の良さを認めて伸ばす教育者になりたい、という思いを強くしました」Yurika Yoshino032021 WINTER

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