PlusK_vol.35
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一緒に学ぼう!ノートテイク対談Let's studytogether!ノートテイクって? ノートテイクとは、筆記通訳のことで、話し手の言葉などを忠実に聞き取り筆記することです。授業では、聴覚に障がいのある学生の両側に2人のノートテイカーが座り、メーン役は教員の話をできるだけ忠実に、サブ役は要点をノートに書き取ります。メーン役とサブ役は、途中何度か役割を交代して、ノートを取ります。聴覚に障がいのある学生は、教員の板書とメーン役・サブ役の取ったノートを見ながら、授業を理解します。身体的なハンディキャップにより情報を収集することができない者に対し、代替手段を用いて情報を提供すること※情報保障聴覚に障がいのある学生の「耳の代わり」をするのが、ノートテイクです。現在、養成講習を受けた46人の学生がノートテイカーとして活動しており、3人がそのサポートを受けながら学んでいます。今回は、ノートテイカーである野田さんと井上さん、そしてノートテイクを利用する田村さんが、筆談を交えながら、ノートテイクについて語り合いました。お互いにとって「プラス」いっぱいのノートテイク田村 高校までは手話や筆談で授業を受けていたので、大学入学前は情報保障(※)の面で不安がありました。そこで、最初の授業の時に、聴覚に障がいがあることを教授に伝え、配慮してもらいながら、ノートテイク制度を利用することに決めました。野田 でも、先生方も授業に熱が入ってくると、話がスピードアップしたりしますよね(笑)。田村 はい。そんな時も、全ての授業でノートテイカーの方がサポートしてくれるので、とても助かっています。このノートがあるので、授業についていけています。井上 そう言ってもらえるとうれしいですね。ノートテイクをしていると、周りの方から「大変でしょう」と言われることがありますが、自分にとってもプラスになることが多いと感じています。特に、要約力や集中力が格段にアップしました。野田 そうですね。思った以上に頭を使いますね。ノートテイクをしているうちに、先生の話の組み立てに意識が向くようになり、授業の流れやポイントが予測できるようになってきました。何より、自分自身が授業を受ける際、ノートを書くスピードが上がりました(笑)。井上 他学部の授業のノートを取るのは、専門用語が分からず難しい面もありますが、普段だと受講できない専門外の世界に触れる楽しさの方が大きいですね。野田 ノートテイクを経験すると、「授業に出てノートを取る」という小学校の時から当たり前に続けていたことが、決して当たり前じゃない、ということに気付かされました。自分ができると思っていることを他人ができるとは限らないという経験を、もっと多くの人に知ってもらいたいと思います。井上 講習会もあるので、少しでも関心がある人は、ぜひ始めてほしいですね。田村 僕自身も、「支援を受けて当たり前」ではなく、感謝の心を持ち続けたいと思います。そして、在学中に、もっと障がいに関する問題について学びたいと思っています。教員の話に集中しながらも、メーン役とサブ役の交代のタイミングを図ったりと、授業中は気を抜けない「普段はノートを取ることに一生懸命で、あまりおしゃべりできないので、今日は楽しかったですね」と笑顔の野田さん(左)、田村さん(中央)、井上さん(右)(写真左)国際文化学部 臨床心理学科3年野田 梢さん(博多青松高校)(写真中央)経済学部 経済学科3年田村 涼さん(福岡高等聴覚特別支援学校)(写真右)芸術学部 デザイン学科3年井上 綾乃さん(輝翔館中等教育学校)▶ノートテイクについての問い合わせは、学生部 厚生課 (TEL 092-673-5581)まで11+K 2017 Autumn

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