Web模擬授業
食品のおいしさと香り
生命科学部 生命科学科
学びのキーワード
- 食品
- 飲料
- おいしさ
- 香り
- 感覚
- 記憶
- 受容
- 香りの計測
講義ポイント①
食品のおいしさとは?
皆さんが、食事中「なぜ、おいしいの?」と聞かれたら、様々な理由が思い浮かぶと思います。食べ物のおいしさは、五感(視覚(見た目)、聴覚(食事中の音)、触覚(食感)、味覚(味)、嗅覚(香り))全てが関わり合って形成されています。最近の研究では、その中でも嗅覚が食のおいしさに極めて重要であると言われています。
食事の際の香りの感じ方には、食べ物を口に入れる前に鼻先からクンクンして「おいしそう」と感じる香り(オルソネーザルアロマ)と、食べ物を口に入れてもぐもぐ噛んでいる時やゴクッと飲み込んだ後に「おいしい、おいしかった」と感じる香り(レトロネーザルアロマ)の2種類あります。最近の研究では、食品のおいしさには、レトロネーザルアロマが重要と言われています。
講義ポイント②
香りと記憶
香りと記憶には密接な関係があります。20世紀、マルセル・プルーストというフランスの文豪が執筆した『失われた時を求めて』という作品の中で、主人公が紅茶に浸したマドレーヌを口に入れた瞬間、その香りで幼少時代のことを鮮明に思い出す場面があり、その描写が元になって香りで記憶が蘇ることを『プルースト効果』と呼んでいます。実は、このような香りと記憶との関係は、実際の私たちの生活の中でも起こることで、昨年度爆発的にヒットした瑛人さんの楽曲『香水』のあの一節がまさにこのプルースト効果と言えるかもしれません。
香りが記憶と密接な関係があることについては、「ニオイ刺激による認知症の予防や治療」に関する研究が行われていたり等、今後大きな期待が寄せられていたりします。
講義ポイント③
香りの計測
本学では、「食品の香りとおいしさに関する研究」のため、国内外の多くの食品関連研究室でも用いられているガスクロマトグラフィー質量検出器(MS)という装置や最新の官能評価システムに加えて、調理や製造後食品・飲料を口に運ぶまでに時々刻々と変化するオルソネーザルアロマ成分の秒単位での変化を測定できる「Direct Analysis in Real Time-MS装置」や、最新のレトロネーザルアロマ計測装置で、食事中の呼気中香気成分のリアルタイム計測を可能とする「プロトン移動反応TOF質量分析装置」を用いて、食品の香りとおいしさとの関係を研究し、食品企業の商品開発を支援しています。このような最先端の食品研究環境を備えた大学は、国内でも稀です。
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生命科学部 生命科学科 食品科学コース
金田 弘挙 先生 - 専門:食品分析学
- 講義内容がめざすSDGs