次の時代を見据え、腹を括ろう

令和2年5月19日

学生の皆さんへ

九州産業大学
学長 榊 泰輔

 

次の時代を見据え、腹を括ろう

 

■しばらくは混沌の中に

 政府の緊急事態宣言の解除や各国の外出規制の緩和など、新型コロナウイルスの感染の第一波は峠を越したように見えます。私たちも5月25日(月)から一部で対面授業を再開する予定ですが、多くの専門家が指摘する、必ず訪れる第二波の拡大状況を見ながら柔軟に対応していきます。ワクチンの開発か大多数が感染するまで、気を緩めることは難しいようです。長引く外出禁止や移動規制によって、日本や米国で販売大手も経営破綻しました。リーマンショック以上の深刻な打撃を世界経済に与えるのは避けられません。今後の社会や経済は混沌としてくるでしょう。こんな中、皆さんの就職活動も先が見えません。

■ポスト「新型コロナウイルス」の課題は

 ワクチンが普及すれば数年で沈静化するでしょう。しかし、その後はどんな社会になるでしょう。元に戻るのでしょうか?いいえ、一言で言うと、新型コロナウイルス禍が無かったらゆっくり起きたであろう10年分の変化、これが1年で一気に達してしまう、そんな激震が起きるでしょう。

 変化には必ず揺り戻しがあります。社会がバランスを取り戻すまで乱高下が続きます。波に乗るか置いていかれるかはっきり分かれ、破綻に追い込まれるところも出るでしょう。

 経済が厳しくなるにつれ、ストレスが益々高くなります。個人間でも国家間でも、誰かを攻撃する風潮が出てきています。このように攻撃と孤立を招く流れと、協調と友愛の流れとのせめぎあいが起きるでしょう。

 沢山の既存の事業が苦戦する一方、AI、ICT、リモート、VR、EC(電子商取引)といったデジタル需要に関わる産業は勢いを増しています。この流れは益々増大し、社会全体が自動化と情報化、そして省力化へ突き進むでしょう。

■腹を括って混沌の世を生きる

 例え新型コロナウイルスが沈静化しても終わりではありません。歴史を見れば感染症が無くならないのは明らかです。私たちは今後も付き合っていくしかないのです。感染症は避けられませんが、問題は付き合い方です。今回要請された行動変容をヒントに、衛生的なライフスタイルを定着させ、社会の文化として引き継いでいくべきです。

 さて、ここで皆さんに宿題を2つ出します。

 1.社会、経済、技術、産業構造はどう変わるか?皆さんの仕事はどうなるか?

 2.生き方、考え方の最も大切な事は?人間らしさとは具体的には何か?

 特にこれから大学で学ぶ方に考えてほしい。予測困難な世の中を泳ぎ切るには、広くまた深く学ぶことが大切です。そのため、まず将来に向けた宿題を頭に据え、何かを学ぶたびに取り出して眺めてほしいのです。すぐに答えは出ません。一つの専門だけを修めたとしても難しい。なぜなら、世の中は沢山の事が複雑に絡み合いダイナミックに動いているからです。色々な授業から多様な知識を学び、頭の中で混ぜ合わせじっくりと考えてください。そのうちきっと良いヒントが得られると思います。

■同時に先生方へお願いしていること

 慣れない遠隔授業にご尽力いただいていることを感謝します。そのうえで専門学問の観点から学生諸君の不安・悩みに応えていただくことをお願いしています。学生諸君はどんな時代に、どう生きれば良いでしょう?幸いにして本学では文・理・芸の多彩な授業があります。学生は様々な授業から学び、自分の頭の中で融合させ、自分なりの答えを持って卒業し、社会で働くことでしょう。大学としてその手助けをしたいと考えておりますので、是非先生方のお力を貸してください 。

新しい価値観と産業のあり方を提言し、時代を切り開いていきましょう。

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