SPECIAL COLUMN

各業界の最前線を走り続ける“九芸卒”の先輩たちから、熱いメッセージ。

「好きな道」を見つけたら、絶対あきらめないでほしい。 想い続けたら夢は叶うから。(三輪)大学の就職先一覧に「HONDA」があった。ここに行こうと腹をくくった。(村川)

  • 二輪デザイナー三輪 幸治
  • カーデザイナー村川 淳
[三輪 幸治]1985年卒。福岡県出身。1985年、本田技術研究所入社。ATV・OFF、スクーター、大型モーターサイクルグループでデザイン開発に従事。1999〜2005年 アメリカ駐在 デザイン室マネージャーを経て、 現在、本田技術研究所 二輪R&Dセンター アドバンスデザイン室 クリエイティブダイレクター 兼室長。主にUS向けCRFシリーズやATV・MUVのデザインを担当。その他、担当した機種 CB500、バラデロ、VT1300CX等。
[村川 淳]1998年卒。佐賀県出身。1998年、本田技術研究所に入社。3代目オデッセイ、FCXコンセプト、CR-ZやUSシビックシリーズなどのエクステリアデザインを歴任。現行の「FIT」ではデザインプロジェクトリーダーとしてエクステリアデザインを担当した。

日本の自動車業界を牽引するメーカーの「HONDA」。長年、二輪と四輪のデザインに携わる三輪さんと村川さんは、ともに九芸の卒業生だ。九芸で得たものとは?カーデザイナーになるには?これからの時代を担う若者たちへ熱いエールをいただいた。

現在の仕事内容を教えてください。

三輪

おもに世界で販売している大型モーターサイクル系のデザイン領域のアウトプットの責任者をしています。最近は管理職としての仕事がほとんどですが、HONDAとして、若者の2輪離れを防ぐためのデザインに力を入れたいと思っています。

村川

和光市の研究所にいまして、4輪のエクステリアデザイン・企画を行っています。アドバンス系(未来の車)のデザインも行っています。

九芸に入学した理由は?

三輪

学生の頃は、HONDAが華やかで、一番HONDAらしかった時期だったかと思います。デザイナーで入社できたら、きっと楽しいデザインができるだろうなという憧れがありましたね。元々は4輪志望だったんですが、名前が三輪だったために、三輪の開発をしていた二輪配属になりました(笑)。昔から乗り物が好きだから、インダストリアルデザインの勉強がしたいと思って入学を決めましたね。

村川

私は佐賀から通っていたので結構大変でした。課題も多かったのですが、特に准教授とは、私たちと一緒に苦労して課題をやってくれて、一体感がありましたね。中学生の頃、HONDAから「NSX」というコンセプトカーが出たんですが、それ以来、HONDAで働きたいという夢を持ちました。大学選びのときに九産大の就職先一覧にHONDAがあったので、「絶対ここに行こう!」と腹をくくれました。

九芸に入学して良かったことは?

三輪

九芸に入っていなかったら今ここにはいない」ということは絶対に言えます。実は企業からの募集枠が1枠だったのを、教授が推して2枠にしてくれたんです。私が相当しつこかったからでしょう(笑)。デザインをやりたいと思った時に色々選択肢はあったのですが、あの時代に本当に目立っていたHONDAに行きたかったんです。

どんな若者に業界に入ってきてほしいですか?

村川

元気があって、何か一つは夢を持っている人がいいですね。

三輪

感受性が強い人。何にでも感動する人がいいですね。最近はオジさんの方が感動屋さんが多い気がしますよ(笑)。バイクは、ボルト1個までデザインします。そこまでこだわるか?というくらいの強い想いと、ほとばしる情熱を持っていないと難しいと思いますね。

九芸だから学べるものは?

三輪

九州の人は、うちに秘めた情熱を持っている人が多いと思いますね。会社にもそういう熱い人がいるのですが、 出身地を聞くとその多くが九州・・・みたいな。九州の気質というのかな。他県から九芸に来たとして、ここで4年間過ごすとすごく刺激を受けると思いますよ。熱いモノが自然に入ってくるのではないでしょうか。リクルートをしているので、九芸の学生さんにも出会いますが、最近の学生さんはちょっと大人しいかな。

どうすれば、HONDAのデザイナーになれると思いますか?

三輪

どこのメーカーでもいいんですが、面接官に対して自分の想いを熱く語ること。「HONDAじゃなきゃダメなんだ」「HONDAが好きだ」「HONDAのバイクが好きだ」という直向きさや情熱を感じると、少々実習の結果が悪くても採用したくなりますよね。学生時代に学んだ絵や技術は、全く通用しません。結局、情熱を持っている人が会社で花開くのです。

九芸を目指す学生たちにメッセージを。

三輪

モノを生み出すことが好きな高校生の中には、どこかで大きな会社には入れない、自分には無理だと思っている節があるかもしれませんが、決してそんなことはない。絶対あきらめず、何にでもトライしてほしい。好きだったら、絶対伸びます。私もある日ふと、こっちの世界で生きていきたいと思ってチャレンジしました。高校も大学も決して成績は良くなかったんですが(笑)、途中で諦めなかったし、努力を惜しまなかった。小さい頃から好きだったことを60過ぎまでやれる。こんな幸せなことはありませんよ。