講 義

システム論
経営学特講V



講義概要
 科学は何百年のあいだ多くの成果をもたらしたが,最近になってその問題点もしだいにはっきりと現れてきた。科学の問題点は二つの側面からみることができる。 一つの側面は科学そのものに関わるもので,主に科学的思考および方法論に関係する問題である。確かに,科学の発展のどの段階においても問題が存在し,歴史的に見ればそれらはいずれ科学自身によって解決されたが,現在われわれが直面している多くの問題は科学的方法そのものから生じたものであり,科学は自らはたして解決できるだろうか。
 もう一つ側面は科学によって引き起こされた結果に関わるもので,社会問題として現れた問題である。確かに現代の文明は科学技術を基礎に築かれたものであるが、その豊かさは主に物質的なものであり、人間の精神的側面が無視されている。このような豊かさは真の豊かさといえるだろうか。また、環境問題などに象徴されている多くの問題も科学・技術と深く関係しており、いま、科学を再検討する時期であろう。
 科学的方法論は,還元主義,決定論および客観性という三つの特徴をもっている。科学的方法の一般的なプロセスは,実験・観察によって測定できる結果を把握し,その結果を還元主義的考え方にもとづき,論理的・決定論的な過程を経て,いくつかの基本的な理論や法則に還元するものである。
 しかし、宇宙に存在するあらゆるものや現象はなんらかの関係が存在しており、その関係を分断し、無視したら、物事を理解することができなくなる。システム論は世界が分断できない全体であることを強調し,部分と全体,あるいは部分と部分間の関係の解明に関するものである。
 本講義では、まず、科学的方法論の特徴を説明する上で、その問題点を提示する。次に科学的方法論の特徴と問題点はわれわれの人間社会に与える影響について述べる。最後に、科学の限界を克服するために、システム論的考え方の必要性について説明する。
評価方法・評価基準
1.出席と小テストの成績
2.前期、後期試験の成績
参考書
 1.C+Fコミュニケーションズ編・著『パラダイム・ブック』日本実業出版社。
 2.村上陽一郎著『新しい科学論』講談社。







講義概要
 この講義は、組織理論およびその流れについて解説する。経営学の中には様々な理論が存在しており、それぞれがかなり違う視点から経営という現象にアプローチしようとする。経営学は範囲が非常に広く、その対象の性質も一定ではなく、時間とともに変化するものである。経営学を勉強する学生として経営現象をどのようにとらえるべきかという基本的な発想と理論を提示するのがこの講義の目標である。
 前期では、まず、組織論の性質について説明し、次にテーラーの科学的管理法から最近の経営理論までの経営学の主な流れを紹介する。前期の後半では、組織の外部環境と経営の関係を中心に講義を進める。
 後期は、バーナードの理論体系を基礎に組織理論を展開していく。その中でとくに次のいくつかの内容を重点に講義を進める。@有効性と能率、Aなぜ協働が必要か、B組織の概念をいかにとらえるべきか、C非公式組織と公式組織の関係、D組織に対する貢献の影響要因、E権威とは何か、F道徳と管理
評価方法・評価基準
1.出席と小テストの成績
2.前期、後期試験の成績
参考書
バーナード『経営者の役割』ダイヤモンド社