写像の特異点論及び関連する科学の諸問題 趣旨



 なにかに注目するとき,最初に目につくのは他と際立って異なる点です. ここでは,点よりも広く捉え,他と際立って異なった様子を特異性と呼びましょう. 特異性と言っても,対象本来の特異性もあれば,対象を観測することで顕在化する特異性もあります. 観測とは対象上で定義された写像のことと理解すれば,写像の特異性を研究することは非常に重要であると想像できます. 写像の特異点論は Morse理論による関数の特異点に関する研究やH.Whitneyの多様体の埋め込み/はめ込みに関する研究に始まり, R. Thom, J. Mather, V. I. Arnold等により展開されてきました. また,最近の計算機科学の発展において,データ解析の可視化の技術に写像の特異点論が利用され始めています.
 そこで,写像の特異点論の現状を把握し,また写像の特異点論のさらなる応用の方向性を探ることを目的とした 研究集会「写像の特異点論及び関連する科学の諸問題」を企画いたしました. 本研究集会では具体的には,次の二つを主テーマに設定します.

1. 写像の特異点論の最新の研究結果の紹介
2. 今後,写像の特異点論の応用が期待される研究テーマの紹介

二つの主テーマに基づき,写像の特異点論について様々な視点からの講演を広く募集します. 本研究集会の開催が,参加者による活発な議論を生み,写像の特異点論そして特異性の現れる数学や科学の発展に寄与することを期待します.
写像そのものだけでなく,写像の零点集合や写像の逆像の特異性に関する研究等,写像の特異性に関する研究発表を広く募集します.さらに,本研究集会では若手研究者用のセッションを設け,多くの若手に講演機会を提供することを計画しています.